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対戦国が見た小野伸二。 

text by

木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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photograph byAFLO

posted2004/12/08 00:00

対戦国が見た小野伸二。<Number Web> photograph by AFLO

 最近オランダ国内で、小野の評価がちょっとおかしい。

 フットボール・インターナショナル誌には「成長が止まったのか?」と書かれ、テレグラフ紙には「ライバルがいないため、怠けている」と指摘された。さらにケガも多いことが、ファンのイライラを大きくしている。確かに給料をたくさんもらっている主力なら、常に出場してチームを勝利に導いて欲しいところだ。オランダのマスコミの反応も、「小野ならもっとできるはず」という色眼鏡がかかっているとはいえ、あながち的外れではないだろう。

 でも、ローカルな視点だけでなく、もう少しグローバルな視点からも見ないと、小野の本質を見失ってしまうだろう。もっと第3者的な目で評価すると、ヨーロッパ・サッカーで小野はどんな位置にいるのだろうか? そのヒントを得るには、ヨーロッパ中の国が出会うUEFAカップが絶好のチャンスになる。12月1日のフェイエノールト対シャルケで、対戦国の選手に直撃した。

 この試合、小野は前半29分に途中出場し、テンポのいいパスで完全にゲームの流れを変えた。誰もが「あっ!」というような意外性のある場所にロングパスを通し、相手DFのマークをずらし、逆転勝利に貢献したのだった。

 セルビア・モンテネグロ代表DFのクルスタイッチは、長いあごをしゃくりながら語ってくれた。

  「途中から入ってきた8番のヤツだろ? こっちの守備にとって、問題になりそうだということはすぐにわかったね。今まで名前も知らない選手だったけど、テクニックがすごくあるし印象に残った」

 実際に小野とぶつかることの多かったベルギー代表MFのフェアマントは、もっと具体的なイメージを持っていた。

  「典型的なゲームメイカーとは、ちょっと違うね。チェコ代表MFのロシツキーよりはスピードがないけど、その分後ろから大きな目でゲームを見ていると感じた。非常にバランスをコントロールすることのできる選手だ」

 選手以上に驚いていたのは、退屈なブンデスリーガに見慣れた記者たちだ。ドイツ地元紙のマルクス・バーク記者は言う。

  「ブンデスリーガでは見られないタイミングでパスを出す選手だね。一気に試合が活性化したし、それで前線の若い選手が生きた。“Klasse”(一流)の選手だ」

 今季はバルセロナが国内外で快進撃を見せ、特にロナウジーニョの“人を魅了する”プレイが見直されている。シャルケの選手や記者たちは、「小野にもそれと同じニオイがある」と言っているようだった。

 “クライフの国”のオランダ人にとってはテクニックあるプレイが当たり前かもしれないが、小野の豊富なアイデアは国外では軽いショックを与えられるくらいに特別なものだ。あとはこの“輝き”を、両足首・両ヒザの持病に打ち勝ち、コンスタントに発揮できるようになれば、小野は本当の“クラッセ”になるだろう。

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