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開催国の面目保ったポルトガル 

text by

熊崎敬

熊崎敬Takashi Kumazaki

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photograph byGetty Images/AFLO

posted2004/06/21 00:00

開催国の面目保ったポルトガル<Number Web> photograph by Getty Images/AFLO

 開幕戦で赤っ恥をかいたポルトガルが、勝利しか許されないスペインとの一戦を制し、ベスト8に勝ち残った。

 ポルトガルは不思議なチームだ。グループリーグの3戦を通じて先発メンバーの顔ぶれはまったく落ち着かず、それはスコラーリ監督の苦悩を象徴していたが、同時に新たに投入された選手が結果を残すというポジティブな一面が生まれている。ロシア戦では、デコ、リカルド・カルバーリョ、ミゲルがその後のレギュラーを確保する活躍を示し、このスペイン戦でもシマオに代わってスタメン起用された若きロナウドが、氷の上を滑るような滑らかなドリブルでスペイン守備陣を困惑させ、リズムを呼び込んだ。

 もっとも、ロナウドが勝負を決めたわけではない。彼らはバレロンのいないスペインを前半から押し込んだが、後半に入ると「タイムリミット」が気になってか動きが固くなり、観客席にも不安げなムードが漂った。フィーゴにもミスが目立ちはじめる。

 この嫌な空気を一掃したのが、後半に投入されたヌノ・ゴメスの一発だった。ゴールを背にしてパスを受けた端正なルックスのストライカーは、中央に切れ込んだフィーゴの動きに相手守備陣が目を奪われた瞬間、鋭く反転して右足を振り抜いた。シュートはファニートの股間を抜けて、ゴール左隅に突き刺さった。この唐突なシュートが、開催国の面目を保つ決勝ゴールとなったのである。

 美しいサッカーで、勝利を手にしたわけではない。ゴール前が恐慌を来たした時間帯もあり、冷や汗ものの勝利でもあった。だが、生きるか死ぬかという決闘をポルトガルらしからぬ勝負強さで勝ち抜いたことは、何よりも意味があるはずだ。

 この原稿の執筆を邪魔するロッシオ広場の喧騒は、おそらく明け方までやむことはないだろう。おとなしく、人当たりのいい人々は、この短期間でずいぶん大胆に感情を表現するようになっている。小さなポルトガルが、少しずつ大きく見えてきた。

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