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ハンブルガー狂想曲。
~ブンデスの名門、好発進の陰で~ 

text by

ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byUniphoto Press

posted2009/09/07 11:30

ハンブルガー狂想曲。~ブンデスの名門、好発進の陰で~<Number Web> photograph by Uniphoto Press

ホフマン会長の積極補強の甲斐あって、ハンブルガーSVは好走するが……

最大の敵は身内にあり!? 疑問が残る会長の手腕。

 さらにチームの足を引っ張っるのが、ホフマン会長だ。20世紀末から財政難に陥ったクラブを立て直したことで、“一定”の評価を受けているホフマン会長だが、現場の意向などは一切構わない。昨季限られた戦力でうまくやりくりしてみせたオランダ人のヨル監督は、今オフ、「ホフマンは金のことばかり気にしている」と捨て台詞を残し、アヤックスへと去っていった。

 去ったのは智将だけではない。ドイツでも5本の指に入るGMと評価されてきたバイヤースドルファーGMも追い出された。ファン・デル・ファールト、デ・ヨンク、ファン・ブイテンなどに早くから目をつけて安く獲得し、高値で売却してチームの財政をうるおしてきた辣腕GMだった。ホフマン会長は、ユース部門に多額を投じたことを口実に、「クラブの財政を破壊する」とバイヤースドルファーGMを切り捨てたが、これにはさすがにファンからも不満が続出。そこでホフマン会長はかなり強引な手を打ってみせた。

 22歳のオランダ代表快足ウインガーのエリア、元ブラジル代表MFゼ・ロベルト、スウェーデン代表FWベリ、チェコ代表CBロゼフナルらを次々と補強。“積極的な投資”を行なったのだ。

 一部では、今オフ国内で最も充実した補強をしたと評価されたが、その実態は、周囲からの不満を掻き消すためにホフマン会長が打った博打なのだ。これでクラブ財政は痛まないのか、バイヤースドルファー前GMならずとも、大いに疑問の残るところだ。

“充実の補強”が功を奏して、HSVはヴォルフスブルクやドルトムントなどの強豪を相手に快勝。ハンブルクの街では盛り上がりを見せているが、はたしてシーズン終了まで結果オーライでいけるのか、どうか……。

 現場の意見を無視してフロント主導で行なった補強が後になって問題を引き起こす。そんな例は山ほどある。シーズンは長い。HSVも現在は好調だが、今後には不安が残る。

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ブルーノ・ラバディア
マルティン・ヨル
ハンブルガーSV

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