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ベネズエラ出身のヘルナンデスは、'05年に19歳の若さでメジャーデビューを果たしている。今年のWBCでも母国のエースとして活躍した

レッドソックスが仕掛けた
幻の大型トレード。

李啓充 = 文 ⇒この著者の記事一覧

text by Kaechoong Lee

photograph by Getty Images

レッドソックスが仕掛けた幻の大型トレード。

なぜマリナーズは若きエースを手放そうとしたのか?

 そもそも、マリナーズのファームに有望選手が枯渇してしまった最大の原因は、一昨年に断行したエリック・ベダード獲得にあった。有望選手と引き替えに獲得したベダードが、ここまで故障で欠場がちであるのとは対照的に、オリオールズに差し出したアダム・ジョーンズは今季オールスター戦に出場するまでにブレークしたし、クリス・ティルマンも有望選手上位50人中3位にランクされる投手に成長した。ベダード獲得で失った有望選手のマイナスを、ヘルナンデス放出の際に大幅なプラスに書き変えることが可能となるのである。

 シアトル・タイムズのジェフ・ベイカー記者によると、こういった状況を見透かしたレッドソックスが、マリナーズにオファーした交換条件とは、「若手有望選手8人のリストから、誰でも5人を獲ってよい」というものだった。しかも、レッドソックスが提示した有望選手リストは、すでにメジャーで活躍中の若手選手4人が含まれるという「豪華」なものだったが、マリナーズを満足させるにはいたらなかった。

 しかし、レッドソックスも簡単には引き下がらず、次なる手段として、パドレスを巻き込んだ三角トレードを画策した。若手有望選手に加えて強打者エイドリアン・ゴンザレス(27歳、OPS9割2分7厘)を差し出すというオファーに、マリナーズも食指をのばしかけたというが、結局、「フェルナンデスを高く売るチャンスはまたやってくる。放出を急ぐ必要はない」と自重、大型三角トレードは幻と終わったのだった。

 今回のトレード話は不成立に終わったが、ヘルナンデスはまだまだ伸び盛り。移籍した場合、メジャーの戦力バランスに大きな地殻変動を起こしかねない力の持ち主であるだけに、しばらく、その動向からは目が離せない。

■関連コラム► グリフィーとスウィーニー、2人が起こす化学反応。 (2009年4月20日)
► ノーヒッター左腕、ジョン・レスターが乗り越えた「癌」以外の危機。 (2008年5月23日)

(更新日:2009年8月12日)

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筆者プロフィール

李啓充

'80年京都大学医学部を卒業し、'90年に渡米。2002年、ハーバード大学医学部助教授を辞して、文筆業に専念。「レッドソックス・ネーションへようこそ」(ぴあ)、「怪物と赤い靴下」(扶桑社)が好評発売中


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