インフラの整備やら治安やら、懸案事項が山盛りで開催された今回のコンフェデレーションズカップだが、蓋を開けてみると、最大の物議を醸したのはスタンドの騒音だった。スペイン――特にシャビ・アロンソ――も、不本意な形で、その騒動に巻き込まれているのだ。
南アフリカ・サッカーの最終兵器“ヴヴゼーラ”!?
まず、騒音の発生源は「ヴヴゼーラ」と呼ばれる南アフリカ独特のチアホーンだ。長さ80cmほどのプラスティック製の筒で、リードがないためマウスピースの中で唇を振るわせて音を出す。メーカーの説明によると、「頬を緩めて、唇で“おなら”のような音を出し、トランペットのように鳴り始めたら、すかさず“爆音”が出るまで強く吹く」といいらしい。1人でも十分うるさいヴヴゼーラが揃って鳴らされたときの喧しさは、現場で体験した者でないとわからないと思う。
しかし、このヴヴゼーラなくして南アフリカのサッカーは語れない。
ブルームフォンテインで知り合った大のサッカー好きというタクシー運転手は、自慢げに教えてくれた。
「指で鳴らすガス式のホーンとは違う。ヴヴゼーラの音には吹いた人の魂がこもっているんだ」
国内最大のクラブのひとつカイザー・チーフスなどは、試合最後の15分間、できる限り大きな音でヴヴゼーラを鳴らすようファンに求めている。なんでも「ヒヒは騒音で死ぬ」という諺(?)がアフリカにはあるのだとか。「静寂を求められるテニスやゴルフと違い、サッカーの試合は騒がしいものだ」とカイザー・チーフスの広報担当は言う。
だが、ヨーロッパのサッカー界にはスタンドで爆音を出す習慣も、ヒヒを殺す諺も存在しない。
シャビ・アロンソの発言は、南アの文化否定とされた。
グループステージの第1節は新鮮な驚きで済んでいたけれど、第2節になると複数の放送メディアや選手があからさまな不快感を示すようになった。中でも大きく報じられたのがシャビ・アロンソの言葉である。
「スタジアムの外であんなものを売らせるなんて、あまり良いこととは思えない。FIFAはヴヴゼーラの持ち込みを禁止すべきだ。あの音にはイライラさせられる」
南アフリカのメディアは“余所者”のこうした態度に反応した。数日前に来たばかりの連中が自国の(サッカー)文化を切り捨てるように批判したのだから、当たり前といえば当たり前。
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筆者プロフィール
横井伸幸
1969年5月生まれ。愛知県出身。大学生の頃から世界を見て回り、90年代半ばと2001年以降の計8年をバルセロナで過ごす。美しい動きは強さを伴うと信じるスポーツ耽美派で、何でも観ては何でも楽しむけれど、自分でやるのは格闘技。コメディ映画と80年代の洋楽をこよなく愛する。































