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「下町気質」が引き起こす、
ウェストハム新オーナーの舌禍事件。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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photograph byAction Images/AFLO

posted2010/02/24 10:30

「下町気質」が引き起こす、ウェストハム新オーナーの舌禍事件。<Number Web> photograph by Action Images/AFLO

ウェストハムの新オーナーに就任したサリバン(左)とゴールド(右)。「筋金入りのサポーター」として、チームの再建に成功できるか?

 一難去ってまた一難。経営者交代で破産宣告を免れたと思ったのも束の間、東ロンドンの“下町クラブ”、ウェストハムを新たな不安要素が襲っている。

 1月19日、デイビッド・サリバンとデイビッド・ゴールドによるウェストハムの経営権獲得が発表された。この経営者の交代は「ウェストハムは然るべき人物の手に渡った」と国内のメディアに歓迎された。というのも、ウェストハムは金融危機で資産を失ったアイスランド人オーナーの下、約150億円もの負債を抱えて苦しんでいたからだ。クラブを救ったサリバンとゴールドは、現プレミアリーグ所属のバーミンガム・シティを16年間に渡って牛耳ってきた、実績あるフットボールクラブ経営者。2人は近年のプレミアでは貴重な、イングランド人の経営者でもある。

 しかも、「ウェストハムが“イーストエンダー(東ロンドン庶民)”の手に戻ってきたんだ!」と誇らしげに語るサリバンは、生粋の“ハマーズ(ウェストハムの愛称)”サポーター。共同会長のゴールドは、少年時代をウェストハムのユースで過ごした“ハマーズ歴”の持ち主ときている。地元色の強い「2人のデイビッド」による新体制への期待が高まったのも無理はない。

「7年以内にCLに出場する」“ゴールド宣言”の非現実ぶり。

 ところが、イーストエンダーを自負する彼らの「下町気質」が、ウェストハムに危害を及ぼそうとしているのだから皮肉なものだ。“舌禍”が止まらないのである。

 まずは、ゴールドが大言壮語を吐いた。

「7年以内にCLに出場する」

 会長就任直後のこの“ゴールド宣言”を聞いて、その現実味の薄さに、ウェストハム・ファンでさえ苦笑してしまったのではないだろうか? 7年と聞くと長いようだが、リーグ底辺にいて残留争いが濃厚なチームが、CL出場枠であるリーグのトップ4争いに食い込めるまで“進化”するための時間としては不十分だ。

 もちろん、マンチェスター・シティのように、底なし状態の資金力に物を言わせて戦力をトップクラスに一新する手はある。しかし、バーミンガムの売却益(約120億円)で経営権を買った両共同会長の財力に頼るウェストハムは、スタジアムの地下から“オイルマネー”が湧いてくるかのようなシティとは違う。サリバンとゴールドは、クラブの半分の株式を売却して資金力アップを図るつもりだが、プレミア下位に低迷している現状では、世界有数のパトロンの気を惹くことは難しい。

<次ページに続く>

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