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佐藤琢磨 グランプリに挑む Round 10 フランスGP 

text by

西山平夫

西山平夫Hirao Nishiyama

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photograph byMamoru Atsuta

posted2004/07/08 00:00

佐藤琢磨 グランプリに挑む Round 10 フランスGP<Number Web> photograph by Mamoru Atsuta

 「一難去ってまた一難かな……」

 スタートからわずか19分、たった15周でレースを終えなければならなかった佐藤琢磨は、困惑した表情でそう呟く。

 白い悪魔払いは2週間前のインディアナポリスの初表彰台で終ったと思った矢先の、フランス・グランプリ(マニ-クール・サーキット)でのエンジン・ブロー。

 7番手スタートとなった佐藤琢磨は序盤から苦しい走行でライコネン、バリチェロに抜かれ9番手にダウン。それでも重いタンク(多いガソリン)の利を活かし3番手に浮上した15周目に1回目ピットストップ。

 エンジン右側の排気管からうっすらと青白い煙が流れ始めたのは、7・4秒のロスタイムでピットワークを終え、コースに戻った16周目のバックストレッチから。それはやがて見慣れた大白煙となってコース上にたなびく。マシンのスピードもガックリと落ちた。

 こうなってはピットに戻ることも叶わず、佐藤琢磨はターン8と呼ばれるヘアピンにマシンを止めた。今季6回目のエンジン・ブローである。

 エンジンからの煙は、ピットストップの前から出ていたと琢磨はいう。これまで5回のエンジン・ブローがなんの兆候もなくいきなりだったのに対し、今回のそれは徐々に徐々に壊れて行ったところが大きく違う。

 エンジンをバラし、データを整理してみないと詳しい原因はわからないが、これまでと違ったパーツが壊れていたとしたらまた新たな対策が必要となる。間の悪いことにフランス→イギリスは2週連戦であり、時間は4日間しかない。そこをどうクリアするか、これはホンダ栃木研究所のエンジニア達の腕にかかっている。

 エンジン・トラブルは別にしても、マニ-クールでの佐藤琢磨のマシンはピリッとしたセッティングが出せていなかった。それは5位に終ったバトンも同じだった。

 70周のレースが始まるやオープニングラップでライコネンに、4周目にバリチェロに抜かれたのは決してエンジンがトラブルの兆しを見せ始めていたばかりでなく、マシンの動きが落ち着かず、低速コーナーでグリップ感がなく、マシンのリヤが流れていたからだ。苦しい走行だったと、琢磨は振り返る。外国人記者にインタビューを受ける琢磨の第一声は「フラストレーティング」だった。

 7月11日のイギリス・グランプリはロンドンの北、クルマで1時間ほどの平原のサーキット、シルバーストンで開かれる。

 ここは日本の鈴鹿サーキットと並んで琢磨にとって得意とするホーム・サーキット。おそらくはいちばん多くレースを経験したコースである。琢磨のデータ・メモリーが活きると信じたい。

 ライバル達とエンジン・トラブルと……佐藤琢磨の後半戦は前半戦と同じくふたつの敵との戦いで幕が開いた。

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