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賭博好きのサッカー選手。 

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酒巻陽子

酒巻陽子Yoko Sakamaki

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photograph byGetty Images/AFLO

posted2004/05/21 00:00

賭博好きのサッカー選手。<Number Web> photograph by Getty Images/AFLO

 イタリアにおけるギャンブラーの比率は、国民の過半数を占めている(約3000万人)。一週間に最低でも1回以上は賭け事をする人は、実に700万人にも及ぶ。トトカルチョやトトゴールなど、サッカー絡みのギャンブルは特に盛んで、最近では欧州カップを対象にした賭けも人気が高い。国から認定されている「SNAI」(イタリア版ブックメーカー)以外の不法賭博にも、年間35億ユーロとも言われる巨額な裏金が動いている。イタリア人は、本当に賭け事が好きなのだ。

 加えて「サッカー選手も例に漏れずに賭け事好きである」ことを立証したのが、この度の八百長疑惑。プロリーグ戦の試合結果を事前に決める「協定」に基づき、セリエA、Bの現役選手が平然とサッカーくじに賭けていた。

 カモーラ(マフィア)による不法賭博の捜査にあたったナポリ警察が、カモーラと関わりがあったシエナの元GKロッシィ(ナポリ出身。今年4月上旬で退団)の携帯電話を盗聴。その結果、汚れたサッカーの実態が暴かれた。

「3万ユーロ、もしくは4万ユーロ儲けようぜ」とロッシィが、同じくナポリ出身のアンブロジーノ(セリエC1・グロッセート)に持ちかける。「知り合いはいるのか?」とアンブロジーノ。まるで映画のシナリオのような会話は、どんどんとエスカレートしていった。

「クラブ間で話し合っている。だがデル・ネーリ(キエボ監督)は真剣にやる気だ」「キエボ、引き分け。アスコリ、引き分け。クロトーネ、勝ち。カタンザーロ、負け…」と、対象試合の勝敗をシエナの同僚ダヴェルサに伝えるロッシィ。

「いろんなことが思い通りにやれそうだ」

 国民の平均年収の何十倍も稼ぐサッカー選手が、金目当てに禁断の園へとのめりこんでいった。この電話の内容から、セリエAではシエナ戦にキエボ-レッジーナ戦を加えた合計4試合で八百長があったとされ、5月11日に警察がセリエAの4クラブ(シエナ、キエボ、レッチェ、レッジーナ)に捜査のメスを入れた。

 サッカー選手のギャンブル好きは、今に始まったことではない。1980年には、セリエAの一流選手が八百長で一儲けした。ミラン、ラツィオなどセリエA・6クラブの主力選手13人が検挙され、国民に衝撃を与えた。また、2000年のコッパ・イタリア、アタランタ-ピストイエーゼ戦でも、アタランタの現役選手による八百長が発覚。その後、「プロリーグに登録する選手は同リーグ絡みの賭け事を禁ずる」としたスポーツ法が公布された。ドーピングの服用と同様、賭け事も刑法により懲役が科せられることになった。しかし、「禁じ手」を抑制できないギャンブル好きの本能が、またもや選手をサッカーくじへと向かわせたのだった。

 度重なるセリエAの不祥事。プロサッカー選手の悪癖に、ファンはもちろんのこと、国民全体も不安を募らせている。

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