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世界を舞台に戦う男、岡見勇信。 

text by

石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

PROFILE

photograph byJosh Hedges

posted2007/06/06 00:00

世界を舞台に戦う男、岡見勇信。<Number Web> photograph by Josh Hedges

 ここ数年、サッカーの欧州リーグやMLBといった世界の檜舞台で活躍する日本人選手の存在は珍しいものではなくなったが、格闘技の世界だって負けてはいない。

 格闘技の海外メジャーといえば、この春、PRIDE買収で話題になったご存知UFCであるが、かつて高阪剛や宇野薫、須藤元気といった選手たちがオクタゴンに登場し戦ってきた歴史がある。

 そして今、そのUFC史上に名を残すであろう、ひとりの日本人選手がいるのだ。

 名前は、岡見勇信。25歳。

 昨年の8月に開催された『UFC62』でデビューし勝利すると、高評価を受けて連続参戦。先の4月に行われた『UFC69』まで日本人初となる破竹の4連勝を飾っている。

 名前に馴染みはないかもしれないが、UFCに登場する選手なのだから、もちろんポッと出の新人選手というわけではない。'02年にデビューし、パンクラスやPRIDE武士道、HERO’S(韓国大会)、DOG、ROTR……といった数多くの大会に参戦した過去をもち、これまでのMMA戦績は24戦21勝3敗。UFCを戦う上で重要なレスリング&パウンドの技術はもちろん、寝技にも対応できるオールラウンド・プレイヤーだ。身長187cm、通常体重90kg、スラリとよく伸びた四肢に均整の取れた肉体は、どこか東洋人離れした剛性としなやかさを有す、世界基準のニッポン人なのである。

 世間ではPRIDEのことを受けて、UFCの名をあちこちで聞くようにはなったが、岡見のこの活躍については、格闘技ファンの間でしか知られていないのが現状だ。今後、UFCがより身近なものになっていくには、岡見の活躍というものが大きなキーポイントになるだろう。ミルコやノゲイラの参戦で以前より注視されるようになったUFCだが、やはり日本人選手の活躍なしに、多くの人々の目を集めるのは難しい。

 そんな岡見にとって大きな意味をもちそうな試合が、6月16日に行われる。北アイルランドで開催の『UFC72』において、前ミドル級王者のリッチ・フランクリンと対戦するのだ。そもそもフランクリンと試合をする予定だった選手が負傷をし、急遽白羽の矢が立ったという事情はあるのだが、岡見にしてみれば、これはまさに千載一遇の大チャンス。しかもメインイベントを張る大トリでの登場であり、王座復帰を狙っているアメリカで人気者のフランクリンに勝利することがあれば、岡見が次期王座挑戦者になるシナリオが用意されているというわけだ。

 岡見は緊張感を漂わせ語る。

 「この一戦は、今後の自分の人生を左右する大きな戦いになるはずです」

 岡見本人のみならず、この一戦は、日本人選手とUFC、あるいは日本のファンとUFCのあり方にさえ、変化を及ぼす重要な戦いになると言ってもいいだろう。

 蛇足だが、現UFCミドル級王者であるアンデウソン・シウバとは過去対戦しており、反則勝ちをおさめ、その強さを肌で知っているのは王座を狙う意味でも大きなアドバンテージ。たら・ればの話で恐縮だが、もしタイトルマッチが決定し岡見が王者になることがあれば、逆輸入ファイターとしてPRIDE勢と一戦交えるといった、観戦する我われの心根を揺らすような目新しい事態も発生するだろう。

 数々のリングを渡り歩き国内では無敗の猛者だったのに、なぜだか日本のメジャーリングにレギュラー参戦できなかった日陰の苦労人。ゆえに知名度も低かった。だが、気づけば今やPRIDEを飲み込まんとしている老舗団体でメインを張る本物のメジャーリーガー。今後は、アメリカン・ドリームを地で行く岡見の動向に、ぜひとも注目してもらいたい。

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