Jリーグ序盤で見えた
下位チームの共通項。

木崎伸也 = 文 ⇒この著者の記事一覧

text by Shinya Kizaki

photograph by Toshiya Kondo

Jリーグ序盤で見えた下位チームの共通項。

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チーム・選手名
ボスナー
ジェフユナイテッド千葉
柏レイソル

 どのチームでも、試合中に相手がやり方を変えたら、対応するのに時間はかかるものだ。しかし、現在Jリーグで下位に低迷しているチームは、あまりにも『対応力』に問題があるのではないか。

 たとえば、5月5日の柏対浦和戦(2-3)。

 後半38分頃、1点のビハインドを負った浦和は、DFの闘莉王を中盤に上げるというシステムチェンジを行なった。高さのある闘莉王をFWではなくMFに置くというあたりにフィンケ監督の非凡な采配力を感じる一方で、ヒディンクが時に見せるマジックのような布陣変更に比べれば十分想定範囲内である。

上位チームと下位チームでは後半の失点数が異なる。

 しかし、柏の選手たちは、この小さな変更にまったく対応できなかった。

 結局、浦和が終盤に決めた2点とも、闘莉王が起点になったものだ。後半39分、闘莉王のクロスがCKを呼び込み、そこから同点。その3分後の逆転弾は、闘莉王の縦パスから始まった。柏の選手は、1人として闘莉王にマークにつこうとしなかった。

 4月25日の千葉対浦和(0-1)もそうだ。

 前半、千葉は猛然とプレスをかけ、おもしろいようにボールを奪った。だが、ハーフタイムに浦和のフィンケ監督が「うしろからパスをつなごうとせず、相手を1度押し込んでからパスを回せ」と修正。後半、浦和の選手たちはシンプルにFWにボールを預けるようになった。

 だが、千葉の選手たちは前半と同じように、前からプレスをかけ続けてしまう。当然、後方の守備が疎かになり、後半13分に決勝点を決められてしまった。

 J1全チームの10節までの前半と後半の失点数を集計してみると、おもしろいデータが得られた(注:ACLのため、鹿島、ガンバ大阪、名古屋、川崎は試合数が1つ少ない)。

 結論から言うと、下位5チーム(18位大分、17位千葉、16位柏、15位FC東京、14位磐田)は、前半の失点だけなら上位陣と差はほとんどない。たとえば暫定首位の浦和も、最下位の大分も、前半の失点数は6。ちなみにガンバ大阪は9だ。

 しかし、後半の失点となると話は違ってくる。下位5チームすべてが後半は10失点以上しているのだ。他に10失点以上しているのは11位の大宮だけ。サンプル数が少ないので、これをもって結論を出すつもりはないが、冒頭に指摘した『対応力』不足のひとつの表れではないだろうか。

戦術変化に対応できない集団的無責任体制。

 筆者が6年間取材したブンデスリーガの下位チームは、『対応力』に関してもっとタフだったように思う。彼らは「最大の目標は1部残留」と割り切っている分、守備での甘さは絶対に許さない雰囲気があった。マンツーマンだったら「オマエはアイツを止めろ」、ゾーンディフェンスだったら「オマエはこのエリアを死守しろ」という責任の所在が極めてはっきりしていたのである。

 それに対してJリーグは、マンツーマンだろうがゾーンディフェンスだろうが、『組織的守備』というお題目の下に、責任がぼやけているように見える。だから、相手の戦術に変更があったときに、自発的に考えようとする選手が少なく、対応が遅れてしまうのではないだろうか。ヨーロッパであれば、あとで吊るし上げられるという危機感があるから、みんな必死で自分の責任を考え、その積み重ねがチームの守備をより堅いものにする。

 Jリーグのレベルの底上げのためには、もっと個人の責任を問う雰囲気が必要なのかもしれない。もちろん選手にとってはツライことだし、追及するプレスの見る目と伝える力も問われるのだが。

■関連リンク► サッカーを見る力。
► 東方蹴球見聞録。~イタリア人記者(戦術オタク)が見たJ開幕戦~

(更新日:2009年5月9日)

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筆者プロフィール

木崎伸也

木崎伸也

1975年1月3日、東京都出身。2002年W杯後にオランダへ移住し、'03年からドイツ在住。現地のフットボール熱をNumberほか多くの雑誌・新聞で伝えてきた。'09年2月1日には帰国し、海外での経験を活かした独自の視点で日本のサッカージャーナリズム界に新風を吹き込んでいる。著書に「2010年南アフリカW杯が危ない!」(角川SSC新書)、「サッカーの見方は1日で変えられる」(東洋経済新報社)がある。7月23日には最新刊となる「世界は日本サッカーをどう報じたか」(KKベストセラーズ)を上梓した。


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