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南アフリカW杯アジア最終予選 
VS. バーレーン 

text by

木ノ原句望

木ノ原句望Kumi Kinohara

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photograph byToshiya Kondo

posted2009/04/01 22:50

南アフリカW杯アジア最終予選 VS. バーレーン<Number Web> photograph by Toshiya Kondo

 日本がワールドカップ(W杯)4大会連続出場に一歩近づいた。

 3月28日のアジア地区最終予選で、日本はバーレーンに1-0の勝利を収め、勝ち点を11に伸ばした。この結果、早ければ、6月の3連戦の初戦となる6日のウズベキスタン戦で勝ち点3をあげることができれば、グループ2位以内が確定し、南アフリカ行きが決まる。

 この日のバーレーンからの1勝は、しかし、なかなか簡単にはいかなかった。

 この1年で5回目の対戦となったバーレーンとは2勝2敗の対戦成績で、いずれも1点差の試合ばかり。ちょうど2カ月前に行われた1月のアジアカップ予選では、日本が敵地で0-1の敗戦を喫している。岡田武史・日本代表監督は「今回は決着をつけたい」と語り、バーレーンのミラン・マチャラ監督は「日本に2勝したという事実は誇りだが、明日の試合はまた新たな対戦」とコメントしていた。

 日本は、「外からだけでなく、思い切って中央からも仕掛ける」という岡田監督の狙いのもとに4日間の準備合宿を行い、立ち上がりから攻撃を仕掛けていった。足が速く、ドリブルで切り込める田中達也、玉田圭司、大久保嘉人の3トップに、中盤から中村俊輔、長谷部誠、遠藤保仁がフィードを出し、そこに両サイドバックの内田篤人、長友佑都が絡む。動きは決して悪くない。

 だが彼らの試みは、ペナルティボックス前に人数をかけて立ちはだかるバーレーンの守備網に引っ掛かった。

 本来なら通りそうなパスやクロスに、相手の足や身体が出てくる。パスコースもクロスのタイミングも角度も、日本のプレーパターンはすべてお見通しと言わんばかりだ。セットプレーでも、前半25分に遠藤のCKに合わせたDF中澤佑二のヘディングを、ゴールライン上に構えたDFモハメド・フバイルがヘディングで掻き出した。

 ここで負けると3位争いの末のプレーオフ狙いしかないバーレーンは、堅い守備からカウンターを狙う作戦で、ここ2戦ホームで引き分けている日本にじわじわと圧力をかけてきた。最低でもこの試合に引き分けて、日本を2位争いに巻き込んで混戦にしたい、というチェコ人指揮官の思惑はあっただろう。同時に、3位争いに回った場合を考えて、得失点差で不利にならないよう失点は避けたかったに違いない。その意味では、前半はほぼバーレーンの思惑どおりに運んだと言っていい。

 だが、嫌な閉塞感が漂いかけたところで、後半開始早々、中村俊輔のFKからのプレーが日本の窮地を救った。

 玉田が攻め込んで得たセットプレーで、一度遠藤に預けたボールをもらい、中村は左足で壁の上を狙った。ボールは相手選手の頭に当たってコースを変え、飛び上がって手を伸ばしたGKの上を抜けて、ゴール右上に突き刺さった。

「バーレーンと日本では、リーグの質も違えば選手の質も違う。日本には欧州でプレーする選手が何人もいるのだし」と話したマチャラ監督は、展開も結果も十分想定内とでも言いたげだった。確かに、最後は質の差がモノを言った。

 1-0とリードした後の日本のプレーは、当然ながら楽になった。相手ディフェンスの裏やサイドのスペースをついて、後半9分には内田、同13分には田中達也が相手ゴールを脅かし、同19分には内田がバーを叩いてスタジアムを埋めた5万7000人超の観客のため息を誘った。

 追加点は奪えなくても、相手の攻めを単発に抑え、まずは危なげなく1点のリードを守りきる。W杯予選ではそんな試合運びも重要だ。きちんと勝ち点3を確保した点には、このチームの成長を感じる。だが、この先を考えると、チャンスを確実にモノにできるような、プレーの精度と質を加えたい。

「試合前のミーティングであえて指示を出す必要を感じなかった。選手は、現在の状況、相手の戦い方、自分たちの強みを理解して試合をしてくれた。少しずつだがチームとして成長している」と岡田監督は語ったが、「さらに質を高めてもっと強いチームにしたい」と付け加えることも忘れなかった。

 次のウズベキスタン戦に勝てばW杯本大会出場が決まる。日本は10月の埼玉でウズベキスタンと1-1の引き分けだった。だが、敵地では何があるか分からない。

 やはり、この2カ月の間に、6月の連戦を意識しながらプレーの質を高めていくしかなさそうだ。地味な作業だが、日々の積み重ねこそが本番で発揮される。それが日本の南アフリカ行きを決定づけるに違いない。

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