ジーコ・ジャパン ドイツへの道BACK NUMBER

2006年 VSスコットランド 

text by

木ノ原久美

木ノ原久美Kumi Kinohara

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2006/05/16 00:00

2006年 VSスコットランド<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

 日本代表にとって、13日のキリンカップ第2戦のスコットランド戦は、ワールドカップ(W杯)メンバー発表を控えた最後の試合であり、ドイツ本大会までに用意された残り少ない調整試合の機会だった。だが、試合はスコアレスドローに終わり、どこか消化不良感が残った。

 すっきりしないのは、3ヶ国対抗のキリンカップで、1分1敗の成績で最下位に終わったからではない。シュート15本を放ちながら、ジーコ監督体制下で17試合目となった無得点(全67戦中)という事実である。本大会初戦を1ヶ月後に控えて、日本チームは、相変わらずの得点力不足という課題を示した。

 9日のブルガリア戦敗戦(1−2)の反省を生かして、日本は“仮想オーストラリア”相手にバランスよく、粘り強く戦った。

 長旅の直後に中1日で2試合を戦った疲労を抱え、第1戦に5−1の勝利を得ているスコットランドは、試合の序盤を過ぎると、守備を固め、積極的に攻める気配はなかった。時折見せる攻撃にはこの日4バックで臨んだディフェンス陣が安定したプレーで対応し、日本は辛抱強くパスを回し、じっくり組立てながら、相手のディフェンスに穴が開くのを待った。

 前半24分には、DF加地がロングシュートを狙い、同43分にはMF小野が玉田から受けたボールを持ち込んで相手二人をかわしてボックスの中からシュートを放った。だが、加地の強打はポストに阻まれ、小野のシュートはGKが弾き返した。後半8分にはMF小笠原がミドルシュートで相手を脅かしたが、相手にゴールライン上でクリアされた。ゴールは遠かった。

 「GKやバックの動きを見て駆け引きするというところが、もうひと工夫あれば…」とジーコ監督は指摘した。

 工夫も足りないが、前線での起点も足りず、攻撃の組立てに苦労した。

 この日先発したFW期待の久保が、最近も両足首の痛みを訴えており、動きに本来の切れがない。前半36分に右サイドからの加地のクロスを胸で落としてシュートを放ち、相手ディフェンスに阻まれる惜しい場面も作ったが、巨漢のスコットランド相手に怖さを感じさせたのはこのときぐらいだった。

 ジーコ監督は試合後、「中盤や守備は練習でいい選手を育てることができるが、ゴールを入れる作業ばかりは作り出せない。その感覚は持って生まれたもの」と話した。

 だが、決して得点力不足にさじを投げているわけではない。

 「これだけシュートチャンスを作っていて入らないわけがない。入ると信じてやるしかない。シュートを決めたいという思いはある。便秘のようなもので、なにかのきっかけでどっと出る時が来る」

 指揮官も待つ、そのきっかけは何か。欧州組の融合か。

 15日に控えたW杯メンバー発表では、ジーコ監督は本番でのFW陣の開眼を信じて選ぶしかなさそうだ。

 ジーコ監督は、「4年間数多くの試合をこなしてきたが、全ての試合が選手はもちろん自分にとってもいい経験で、23人のメンバーを選ぶ材料になっている」と話し、「代表での重要な試合での実績と貢献度」が選考の鍵になると説明している。

 おそらく、W杯というシチュエーションを考えると、日本が優勝した2004年アジアカップやW杯予選、2005年コンフェデレーションズカップなど、大舞台でのパフォーマンスが多くの試合中でも特に考慮されるのではないか。

 「日本のために期待できる23人」(ジーコ監督)の選考発表を受けて、日本代表は17日から24日まで福島県で合宿に入る。

 すでに欧州組も三々五々帰国してきており、ジーコ監督にすれば、メンバーが固まって、ようやく本格的な調整に着手できる場となる。ここでのすり合わせが、W杯本大会で日本の命運を分けることになる。

 福島合宿後、日本は26日にドイツへ向かい、現地ではボンを拠点に30日にドイツと、6月4日にマルタと調整試合を行い、初戦のオーストラリア戦(12日)へ備える。

 日本代表は、最も重要なラストスパートに入る。

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