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【キリンカップ2009 日本×チリ】
主力抜きでも快勝した
岡田ジャパンが得たもの。 

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木ノ原句望

木ノ原句望Kumi Kinohara

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photograph byNaoya Sanuki

posted2009/05/29 20:00

【キリンカップ2009 日本×チリ】 主力抜きでも快勝した岡田ジャパンが得たもの。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

 欧州で戦って生き残るとはこういうことなのかと、本田圭佑を見てあらためて思った。速いプレッシャーにも動じない。身体を寄せられても、手や肩、腰などの使い方や相手の裏をかくアイディアでボールをキープする。そしてなによりもまず、簡単には倒れない。

 5月27日。ワールドカップ南米地区予選3位につけているチリを相手に、日本が4-0で勝利したキリンカップ初戦。所属するVVVフェンロをオランダ2部リーグ優勝と1部昇格へ導き、今季2部リーグMVPにも選ばれた本田圭佑は、右MFとしてJリーグ選手との違いを見せつけた。

格の違いを見せつけた本田圭佑。たくましさが光った岡崎慎司。

 同じピッチには、相手に寄せられるとすぐに倒れる選手も、簡単にボールを失う選手もいた。岡田武史日本代表監督は、強豪チリとの対戦でこうした能力の差を確かめたかったはずだ。アジアレベルとは次元の異なるプレッシャーに、どう対応できるのか、と。

 Jリーグでプレーする選手にも、簡単には倒れず、たくましさを見せた選手がいた。その筆頭が、この日、5分間で2ゴールをあげたFW岡崎慎司である。

 相手DF2人を背負いながら、MF中村憲剛から受けたパスを本田へ戻す。本田が豪快なミドルシュートを放つ間に、素早く反転してゴール前に詰めると、GKが弾いたリバウンドのボールをゴールネットへ叩き込んだ。前半20分のことだった。

チリ・ビエルサ監督を羨ましがらせた、日本の勝負強さ。

 6月に次の南米予選を戦うチリは、国内組中心のメンバーが代表定着をアピールすべく積極的にプレーし、速いテンポで日本選手に厳しいプレスをかけた。ちょっとやそっとの当たりでは笛を吹かないデンマーク人のレフェリングも手伝って、日本は立ち上がりから押され気味で、強さと上手さを兼ね備えた3トップの左、FWボセジュールの扱いに手をとりわけ焼いていた。だが、岡崎の先制点で余裕ができたのか、その後はボセジュールを3、4人で囲いこんでボールを奪うようになる。それが前半24分の2点目の起点になった。

 奪ったボールはMF長谷部誠を経由して、右サイドに張り出していたDF中澤佑二に渡り、その中澤から、岡崎をマークする相手センターバックの裏へ絶妙なパスが送られた。その瞬間、岡崎は鋭く反応してDF2人を置き去りにすると、GKの動きを確かめながら冷静にゴールへと流し込んだ。

 岡崎の相手の裏をつく鋭く素早い動き、相手に競り負けないタフさ、そして少ないチャンスをゴールに結びつける決定力を目の当たりにして、チリのビエルサ監督は「チリが日本と同じくらいチャンスを生かしていれば、もっと違う結果が出ていたかもしれない」と語った。決定力不足に苦しむ従来の日本の姿は、そこにはなかった。

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