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希望が見出せない? ドイツ守備陣の脆弱さ 

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安藤正純

安藤正純Masazumi Ando

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photograph byPICS UNITED/AFLO

posted2005/08/23 00:00

希望が見出せない? ドイツ守備陣の脆弱さ<Number Web> photograph by PICS UNITED/AFLO

 オランダとの親善試合。ドイツは速さとパスワークの巧みさで攻め込んでくる隣国相手にまったく歯が立たなかった。多くの時間帯でサンドバッグ状態が続いたのはDF陣の弱さが原因だった。

 例によって3トップのオランダは左右に快速のウインガーを配置し、シュナイダー、フリードリッヒ、ベルンスを圧倒する。ヨーイドンで一緒にスタートしても、多少の距離的優位があっても、前半は右に、後半は左に入ったロッベンが難なく突破してしまうのだ。

 こちらも4バックで対抗したが、DFのわずかな隙間を狙って次から次へとオランダが絶好のパスを通す。1−0で終えた前半だったが、決定機を逃さなければ4−0でもおかしくなかった。

 コンフェデ杯でも指摘された脆弱なDF陣。戦犯扱いされたフートは途中出場だったものの、ヒンケル、メルテザッカーを含めたこの6人では、誰を起用しても強豪国の攻撃は防げないだろう。センターから攻められる場合はMFが早めの防波堤を築いてくれる。だがサイド攻撃になると守りの人数が足りなくなり、マーカーの足の遅さがチームに致命傷をもたらす。そんなシーンを何回繰り返し見せつけられたことか。

 中盤の底を担当したハマンは、すでに代表レベルからは遠い。年をとりすぎている。元々、昨年のユーロで見切りをつけられたはずのベルンスは自己の経歴に恥の上塗りをした。ヘディングでクリアしたボールをロッベンの足元に“好パス”して1点目のゴールをアシスト。2点目もロッベンの突破をまったく止められず、右から左へと得意のシュートコースを提供してしまったのだ。

 対敵動作が鈍く、走力が劣りステップワークが未熟というドイツDFの弱点をオランダは最初から見抜いていた。

 ブンデスリーガは開幕戦の9試合で32ものゴールが生まれた。世界でも稀に見る多さだ。しかしこれは反面でDFの頼りなさを証明していることではないのか。

 ゲームを作り出すテンポが遅いこともオランダを図に乗らせた格好だ。試合結果は2−2の引き分けだったが、内容的には大人と子供の違いがあった。

 そうなると、「ドイツDFはまだ経験が足りないから」と言い訳ができるだろう。しかし先発4人の出場回数はドイツよりオランダのほうが圧倒的に少ない。

 つまり大事なのは回数じゃない。背の高さと体格で勝負する時代はとっくに終わっている。スピードに溢れ、テクニックを持ったDFが必要なのだ。その基準に合致するのは左DFのラームしかいない。でもケガから復帰するまでまだ時間がかかる。フ〜〜ム、溜息が出るばかりである。これじゃ地元W杯開催で優勝なんて夢のまた夢だよ、……ったく。

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