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ポスト・シューマッハー。 

text by

西山平夫

西山平夫Hirao Nishiyama

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photograph byMamoru Atsuta(CHRONO GRAPHICS)

posted2007/03/22 00:00

ポスト・シューマッハー。<Number Web> photograph by Mamoru Atsuta(CHRONO GRAPHICS)

 開幕戦オーストラリアは二人のヒーローを生んだ。

 フェラーリレッドのレーシングスーツも目新しい勝者キミ・ライコネン。そしてF1デビュー戦で3位フィニッシュを果たした褐色の新人ルイス・ハミルトン(マクラーレン・メルセデス)である。

 ライコネンの勝ちっぷりはまさに横綱相撲。ポールポジションからスタートして独走に独走を重ね、終盤はペースを落として次戦のためにエンジンを労わる余裕さえ見せる様は、まるで去年までのシューマッハーが乗り移ったかのようだった。

 予選、そして決勝でライコネンとアロンソが並び立つ姿は、まさに新時代の到来を告げていたが、そういえばある外国F1雑誌にこんなタイトルがつけられていたものだ。

 「シューマッハー……って、それ誰よ?」

 それにしてもフェラーリの速さは別格。予選でギヤボックスが壊れて16位に終ったばかりか、決勝に向けてはエンジン交換で最後尾グリッドからスタートしたマッサが6位まで追い上げて来た。ライバル達がうかうかしていると、フェラーリが18戦15勝した2004年の二の舞になる、そんな声も上がっているほどである。実際、スタートから1周1秒ずつ2位ハイドフェルド以下を引き離して行くライコネンの姿を見ると、あながちうがった予想とも思えない。メルボルンの週末のライコネンにタイトルをつけるとしたら「イージードライブ、イージーライフ」だろうか。

 マクラーレンの秘蔵っ子ハミルトンは、まさに衝撃のデビューを飾った。イギリスのファンの騒ぎ方はひとかたではなかったが、イギリス人ドライバーがデビュー戦で表彰台に上がったのは1966年フランス・グランプリのマイク・パークス(フェラーリ/2位)以来と聞けば、さもありなんと納得できる。

 予選4位もすばらしかったが、決勝ではチームメイトのチャンピオン、アロンソを堂々リード。スタートからして見事で、いったんは出し抜かれたBMWのクビカと予選2位のアロンソを1コーナーでまとめてパス。ライコネンがピットストップに入るや、4周にわたってレースをリードしてみせたものだ。

 レース後ハミルトンは「レースは凄くキツかった。考えてもみてほしい。デビュー戦で背後に2回チャンピオンになったドライバーを従えて走るんだから、それがどれほど大変なことか」と語ったが、たしかにプレッシャーのせいか2回ほどコースオフするシーンも見せた。しかし、それでいてアロンソに付け入らせなかったところが大型新人たるところ。

 結果的に2回目のピットストップでアロンソに逆転されたが、いかにチャンピオンが本気を出してもコース上では逆転できなかったろう。マクラーレンにとっては期待以上の拾い物であり、アロンソにとっては厭な獅子身中の虫となった。

 2戦目以降の戦いは、ライコネンとマッサが優勝を争い、その後方にきびすを接して疾駆するアロンソとハミルトンの姿が見られるだろう。

 ポスト・シューマッハー元年は、面白いシーズンとなりそうだ。

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