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密かなダークホース、レイズ 

text by

菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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photograph byGetty Images/AFLO

posted2008/04/15 00:00

密かなダークホース、レイズ<Number Web> photograph by Getty Images/AFLO

 シーズンが開幕してから今日(4月13日)でちょうど2週間が経過した。タイガースの開幕7連敗スタートやカージナルスの快進撃など多少の驚きはあったものの、どの地区も混戦模様になりそうな雰囲気で、今年は激しいペナントレースを期待していいだろう。

 ところで長年の取材生活を続けているうちに、日本人選手の活躍を期待する一方で、贔屓にする特定のチームを持たないようになっていたのだが、今年のキャンプ取材を通じて密かに期待するチームができた。岩村明憲選手が所属する“新生”レイズだ。

 「オフの間もチームが本腰を入れて補強に入ったなと感じた。(キャンプ)初日に集まった時に、選手だけでなくスタッフの顔色も違うという感覚があった。投打が噛み合えば面白いチームになると思うし、ヤンキースとかを本気で倒しにいけるんじゃないかな。ここまでこのチームに興奮しっぱなしです」

 チーム名を改め、チーム・カラー、チーム・ロゴ、ユニフォームも刷新した外面だけではなくキャンプ初日に岩村選手が話してくれたように、レイズは内面でも変わってきたのだろう。それを物語るように、オープン戦で18勝8敗の成績を残し、アスレチックスと並びメジャー最高勝率を記録している。

 オープン戦だからと侮るなかれ。レイズが開幕戦に配った資料によると、1997年から2007年までオープン戦最高勝率を記録したチームのシーズン成績は、11チーム中6チームがプレーオフ進出を決めており、8チームがシーズン勝ち越ししているのだ。1998年にチーム創設以来、一度も勝ち越しシーズンのないレイズにとって、これほど力強いデータはないだろう。

 「いい意味で(自分たちは強いんだと)勘違いしてもいいと思う。みんなで勝ちにいこうという姿勢は大きいし、勘違いしているうちにだんだん実力もついてくる。今年は一味違うというのを少しずつ出していかないといけないし、それをシーズン中に癖にさせるのが大事。オープン戦なんですけど、勝ち癖をつけていかないといけない」

 元々岩村選手はヤクルト時代に2000年まで3年連続Bクラスから2001年に日本シリーズ制覇を経験し、成長するチームに何が必要なのかを肌で感じ取っている。それだけにレイズのような若いチームが、オープン戦で勝利を積み重ねていく大切さを繰り返し説明してくれた。

 そして今シーズンのレイズ成功のカギを握る選手こそ、岩村選手なのではないだろうか。メジャー2年目を迎え、冷静に回りを見渡せるようになったのか、キャンプ中から落ち着いた様子が目についていた。オープン戦で対戦した田口壮選手も、今年の岩村選手を以下のように評している。

 「グラウンドにいても雰囲気があるし、見ていてチームの中心になっていると感じた」

 今年から二塁にコンバートされたが、オープン戦ではまったく不安を感じさせない守備を披露し、すっかり首脳陣の信頼を勝ち取った。そして今年は、定評のある打撃センスがいよいよ本領発揮するのではと期待している。

 「打席にいてすごく居心地がいい。昨年は余程居心地が悪かったのか、すぐ打席から出たがっていた。居心地さえ良ければ、結果は自然についてくると思う」

 キャンプ中の岩村選手の言葉にも、どことなく今シーズンに臨む自信が見え隠れしている。長打も期待できるリードオフマンとして、きっと彼のバットがレイズ打線を活気づけてくれることだろう。

 大学卒業してから間もない頃のこと。ある時、自分たちが物心ついてからリーグ優勝していないチームが12チーム中ベイスターズだけになっていることに気づき、友人と2人で横浜を応援し続けたことがあった。そして1979年にパイレーツがワールドシリーズを制覇して以来メジャーに関心を寄せるようになった自分にとって、改めてチェックしてみるとプレーオフに出場していないチームというのはレイズだけだというのが判明した。自分の“判官贔屓”魂に火がついたのはいうまでもなく、ますます岩村選手とレイズに期待を寄せたくなった。

 12試合を消化した時点で、レイズは6勝6敗の5割。レッドソックスとヤンキースを抱えるア・リーグ東地区でプレーオフ進出を狙うのは不可能に近いことなのかもしれないが、だからこそ自分のライフワークとして今後も密かに(この場で公言してしまった以上、この表現は妥当ではないのかもしれないが、あくまで自分の心の中でという心持ちで)応援し続けていきたいと思う。

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