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【山本ジャパン、最後の挑戦】
本番を控え、順調な仕上がり 

text by

木ノ原久美

木ノ原久美Kumi Kinohara

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photograph byActionimagesGR/PFOTO KISHIMIOTO

posted2004/08/11 00:00

【山本ジャパン、最後の挑戦】本番を控え、順調な仕上がり<Number Web> photograph by ActionimagesGR/PFOTO KISHIMIOTO

 「シンジ!」「シンジ!」

フィールドのあちこちから、MF小野伸二にボールを要求する威勢のいい声が次々とかかる。

ドイツ・ニュルンベルグで行われた日本男子五輪代表チームの直前合宿の5日目。フォルトゥナ・デュッセルドルフのユースチームとの練習試合で、オーバーエイジのひとりとして招集された小野は、23歳以下のチームメイトにこう呼ばれながら、次々と絶妙なパスを送り出していた。

合宿前半は時差調整を含めたフィジカル中心、後半は戦術面を意識した練習だった。その中で、五輪初戦のパラグアイ戦までわずか10日というタイミングで、ようやくチームに合流することができた小野が、どれだけスムースに若手選手らに溶け込み、チームとしての攻撃の形を作っていけるかは、大きな課題だった。

だが、その心配は徒労に終わった。フェイエノールトのミッドフィールダーは、とても自然にチームの輪に入り、まるで昔からこのチームにいるかのように振舞い、明るく、和やかな雰囲気を創り出していた。

7-0の大勝に終わった練習試合には、結果以上に、合流初日から繰り返されてきた攻撃パターンの練習の成果が表れていた。小野のパスを受ける両サイドの駒野や森崎、FW大久保らが、面白くて仕方がないというように前へ走る。攻めのパターンが増えただけでなく、わずかながらもチーム全体のプレースピードが上がり、軸が通ったようだ。その動きは、7月中に行われた韓国五輪、オーストラリア五輪、ベネズエラ代表との強化試合で見せていたものとは、明らかに違っていた。

ユースチームとの対戦でプレッシャーがほとんどない中でのプレーだけに、イタリアやパラグアイのような堅守を誇る相手との実践でどれだけ出せるか、割り引いて考えなくてはならないというのはある。だが、コンビネーションや選手の意識などの面で、チームの仕上がりにある程度の手ごたえを感じることができただろう。

山本監督も、「どれだけのことが準備としてできているか、今日のゲームに集約されると思っていたが、一定以上の成果はあった。これを残りの数日間で本番に向けて(ギリシャの)現地でさらに磨きをかけたい」と話した。

ギリシャでの激戦を前に、森に隣接するホテルに逗留して、ホテルの敷地内にある練習場でサッカーに集中する一方で、2006年W杯開催スタジアムや市内の古城を訪れたり、バーベキューをしたり、というリラックスする時間も設けられた。

チームは8日にテッサロニキに入り、同日夜、軽く身体を動かして旅の疲れをとった。

「ギリシャに来て、やっと本番に入ったという気がして引き締まる」と、主将に任命された那須が言った。「このチームはひとつひとつ乗り越えていい結果を残してきた。五輪でも、次のステップへいけるようにしたい」。

サッカー五輪の開幕まで2日と迫った9日、テッサロニキのカフタンゾグリオ・スタジアムでは、照りつける太陽の日差しの中で、ピッチの芝が刈られ、ボールボーイやチーム入場、国歌演奏などのリハーサルが行われ、スタジアムの敷地を囲むフェンスと壁には真新しい塗装が施され、周回道路の最後の舗装が急ピッチで進められていた。

12日、午後8時30分(現地時間)。このピッチに日本選手らが並び立つ。

<日本男子、B組試合日程>

8月12日 対パラグアイ(テッサロニキ)

8月15日 対イタリア(ヴォロス)

8月18日 対ガーナ(ヴォロス)

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