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アジアカップ VS.韓国 

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木ノ原句望

木ノ原句望Kumi Kinohara

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2007/08/01 00:00

アジアカップ VS.韓国<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

 7月28日、インドネシアのパレンバンで行われたアジアカップ3位決定戦の韓国戦で日本はPK戦5−6で敗れ、3連覇を狙った大会を4位で終了した。3位までに与えられる2011年大会への予選免除を手にすることはできなかった。

 両チーム最初の5人がきっちり決め、韓国の6人目も成功して6−5に。だが、日本キッカー6番手の羽生のキックは韓国GKイ・ウンジェの右手に阻まれてゴール前で高く跳ね上がり、120分の死闘が終わった。

 25日にベトナムのハノイでサウジアラビアと準決勝を戦った翌日、ベトナム首都からインドネシアのジャカルタへ飛行機の遅れの影響を受けながら12時間かけて移動し、さらに翌27日に国内線でジャカルタから移動。試合会場当地に着いたのは試合キックオフに24時間もないという強行軍だった。

 だが、インドネシアの気候が幸いしたのか、通算65戦目となる宿敵韓国との対戦で、日本は立ち上がりから積極的に展開を試みた。

 ハノイよりは涼しいパレンバンでの試合で、サウジ戦のときよりは動きもよく、集中もしていた。韓国ディフェンス陣の裏のスペースを取ろうと、前線での動き回るプレーを見せたが、多くの運動量を求められる戦術に、次第に疲れが出始めた。特に攻撃に転じた場面でミスが目立ち、プレーに精度が欠けていたのは、前の試合と同じ。結局、相手GKの好セーブもあって、ネットを揺らすことはできなかった。

 試合後に敗因を聞かれたオシム監督は、「ゴールを決められなかったこと」と答えたが、「だが、90分と延長での試合には負けていない。負けたのはPK戦。幸運と集中力の差だった」と続けた。

 苦しい試合で勝つには何が必要か。

 7月9日の初戦から20日弱で6試合を戦った疲れは、苦しいときにより重く選手にのしかかってきた。疲れたときに試合を決めることができるのは、結局のところ、個人の技術とそのプレーの精度の高さでしかない。それは、これまでにも何度となく多くの指導者から指摘されてきたことであり、日本サッカーと選手に「決定力不足」という形で突きつけられてきた長年の課題だ。

 グループステージで主導権を握ることができたカタール、UAE(アラブ首長国連邦)、ベトナム相手の試合では、そういう部分は見えてこなかったし、問題にはならなかった。

 だが、決勝トーナメントという一つ上のステージでは、それが露呈された。日本選手には、そこを突破できる要素が欠けているということだ。厳しい条件下で連戦を重ねた今大会だからこそ、改めて浮き彫りになった形だ。

 個人の技術レベルの不足部分を、日本はこれまで組織プレーで補ってきた。それにより、多くの成果と成長も上げてきたが、組織でカバーできる部分には限界があり、一つ上のレベルへ進むには、克服しなければならない課題である。

 「コレクティブ(組織)のレベルアップは個人のレベルアップがなければ成り立たない」とオシム監督は指摘した。さらに、「シュートの精度などを解決しないといけない。今はそういう段階。日本人はテクニックがあると思われているが、止まった状態でのテクニックは上手。しかし、動きながらのテクニック、トップスピードでボールをコントロールできる選手が必要」と言った。

 実戦で使えてこその技術が不足しているのでは、先には進めない。

 オシム監督体制になって「考えて走る(動く)」サッカーを追及してきた。その方向性はよく、今回の大会でもチームとして成熟度が上がってきたことは確かである。

 だが、こういう大会で試合を決め、勝ち進み、さらにレベルアップするためには、組織だけでは限界がある。その課題を選手が今回改めて認識し、今後日頃の練習で取り組んでプレーの技術と精度を上げることができれば、今大会に出場した価値が上がるだろう。

 FW高原は「質を上げていかないと。監督の考えているところに、追いつかないといけない」と言った。

 彼と同様な思いを、チームのほかの選手がどれだけ共通して持ち、課題克服を実戦できるか。地味だが重要な取り組みである。

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