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田中将大の恐るべき「胆力」で、
楽天はCSへの進出を目指す。 

text by

中村計

中村計Kei Nakamura

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2009/09/07 12:40

田中将大の恐るべき「胆力」で、楽天はCSへの進出を目指す。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

不安要素を頭から100%排除できる究極の集中力。

 それにしても、本当に田中が不安げな顔をするシーンというのを見たことがない。だから、想像さえつかない。どんなときでも、追い込まれれば追い込まれるほど、気持ちが入り、力を発揮した。ピンチの場面を2者連続三振や3者連続三振で抑え込むシーンを何度見たことか。田中はそんなときの心理状況をこんな風に語っていた。

「自分の中で変わりますね、モードが」

――何とかしなきゃいけない、と?

「いや、なんとかしなきゃいけないじゃない。絶対、抑えてやるになりますね。(そういう場面は)自信があるとかないとか……別に、そんな余計なこと考えないですもん。もう、ほんと、絶対抑えてやるだけです。ほんと」

 この言葉の中に田中の思考回路を垣間見ることが出来る。つまり、不安要素を100%排除できるのだ。というよりは、まさに「モードを変える」ように、不安要素が入り込む余地がない回路につなぎ変えるという感覚なのかもしれない。

後半戦、CS進出をかけた至高のピッチングが見られるはず。

 シーズン終盤になって、田中にとっては持ってこいの展開になってきた。ローテーション通りにいけば、次回の登板は10日のオリックス戦だ。前回は4失点でKOされているだけに、いつも以上に心中深く期するものがあるに違いない。

 クライマックス進出。前回のリベンジ。次の登板も、最高の投球が生まれる条件が2つも整っている。

 目覚ましい躍進を遂げている3年目。あと残り数試合の中で、プロ入り後、最高の投球が見られることは間違いない。

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