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今シーズン注目の“影がある”選手たち。 

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鈴井智彦

鈴井智彦Tomohiko Suzui

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photograph byTomohiko Suzui

posted2005/08/24 00:00

今シーズン注目の“影がある”選手たち。<Number Web> photograph by Tomohiko Suzui

 気になる選手がいる。私の場合は、どことなく影がある、どうも運命の巡り合わせがよくない、と思わせる選手だ。だから、気になる。

 ナカムラ・シュンスケ獲得を狙っていたリーガ・エスパニョーラのラシン・サンタンデールが、彼と天秤にかけていたのが、ダルマだった。マルセイユ、パリSG、インテル、トッテナムを渡り歩いてきたフランス人はかつて、ジダンの後継者ともいわれていた。アンダー21代表時代に、10番を背負っていたダルマがスペインと対戦したときなどは、バルサのシャビよりも脚光を浴びていた。それが、どこで何をしているかも聞こえなくなるほど、消えかけていた。彼はトゥールーズにいた。そして今季、ラシンに移籍してきたのである。彼に何があったのか。ミラノで過ごした3年間で何かが狂ってしまったのだろうか。

 5年前のダルマは、その名のごとく「達磨」に似ていた。だが、ラシンで左サイドを走るダルマの肉体はかなりたくましく、達磨の面影などない。再び、フランス代表に呼ばれたいと彼も願っているだろう。ダルマさんは転んだ、でも、起きあがる。

 アトレティコ・マドリーのカルロス・ビアンキ監督も、気になる。白髪で禿げあがった額から『鉄腕アトム』のお茶の水博士を連想させる彼は、56歳になる。ベレスを率いてトヨタ・カップに優勝したのは、いまから11年も前のことだ。ローマでは失敗したけど、ベレスで4シーズン、ボカで6シーズン築いたアルゼンチンでの実績は、クーペルなど足元に及ばない。選手としても、アルゼンチンとフランスでの経験がある。監督としての年齢も熟している。長い眠りからアトレティコを蘇らせることができそうな雰囲気が十分にある。

 アトレティコにはフェルナンド・トーレスという、これまたデビュー当時に“ラウール2世”といわれていた選手がいる。ラウールはもともとがアトレティコ出身だったから、彼が出てきたときには、もう、大騒ぎだった。もう心配はいらん、アトレティコの救世主だ、と。そのシーズン、アトレティコは2部へと落ちてしまったのだけど……。

 さて、トーレスは21歳になった。17、18と騒がれ続けてきたけれど、だからといって今は何もない。とんでもないゴールを決めて、ファン・バステンの再来だ、とまでいわれたころもあるが、何もない。監督に恵まれなかったのか、仲間に恵まれなかったのか、彼はそんな星の下に生まれたのか。しかし今年は違う。

 ビアンキは、この夏、いろんなシステムを試してきている。すべては、ゴールを奪うため、トーレスを生かすためにある。誰もが、くすぶっている彼の才能をもっと拝みたい心境だ。気になる。

 もう一人。アイマールを思うと、いつも感慨深くなってしまう。バレンシアの新監督、キケ・フローレスは試行錯誤しているけれども、ビジャ、クライファート、ミスタ、ディ・バイオと揃うアタッカー陣と、アイマールの組み合わせが気になってしかたがない。またしても、ベンチ生活となったらアイマールのいうように「ラファ・ベニテスのところへ」出て行ってしまうだろう。そうなっては、悲しすぎる。

 アイマールの友人サビオラがバルサから使い捨てカイロのごとく、セビージャへと飛ばされたケースもある。殺生な仕打ちに思えた。これには、ラポルタ会長の意向があるといわれている。アルゼンチン代表FWといえども、前会長の遺産はいらん、ということだ。だから、サビオラにはバルサを見返して欲しい気がする。

 会長といえば、今季から1部に復活したアラベスのピーテルマンが、さっそく権力を発揮する。エスパニョールのユースで監督を務めてきたモンフェルをわずか1カ月で解任したのだ。カルフォルニアでのキャンプから行ってきた親善試合の成績は4勝1敗1分け。現場に口を出すことで有名な会長だが、何があったというのだろうか。気になる。開幕戦はバルサを迎えるというのに、アラベスの先が思いやられる。

 あぁ、気になることばかりで、待ちわびた新シーズンが訪れる。

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