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ヴァージン、ロータス、USF1……。
F1初参戦の新チームを徹底分析。 

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西山平夫

西山平夫Hirao Nishiyama

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posted2009/12/24 10:30

ヴァージン、ロータス、USF1……。F1初参戦の新チームを徹底分析。<Number Web> photograph by Getty Images

ヴァージン・グループの創設者にして会長を務めるサー・リチャード・チャールズ・ニコラス・ブランソン(59歳)。宇宙旅行会社など新規事業参入で常に話題を振りまき、自身冒険家としての活躍も多い

 例年になく熱く盛り上がったストーブリーグは、クリスマスに向けて今シーズン最後の噴火を見せるかどうか、というところに差し掛かっている。

 最大の焦点はミハエル・シューマッハーのメルセデスGP(現ブラウンGP)からのカムバック。皇帝シューマッハーの復活が実現したことで、主要チームのシートはルノーに収まるクビサの相棒以外はすべて決まることになった。もしシューマッハーが復帰しなければ、メルセデスGPでニコ・ロズベルグと組むのはニック・ハイドフェルドということになるはずだったのだが……。

 ところで、2010年は新チームが4つ参戦する。

 ロータス、カンポス、USF1、ヴァージンという面々で、エンジンはコスワースを使うと予想される。

 では、それぞれどのような経歴のチームなのだろうか?

資金、人材ともに万全な体制で名門復活を期すロータス。

 名門復活といわれるロータス(カーナンバー18/19、以下同)は、イギリスの小規模F3チームであるライトスピードが母体で、マレーシア最大の自動車メーカー・プロトンを含む複数の企業が資金を出し合う共同運営である。

 チームCEOはリアド・マスマットといい、元プロトンのGMだった人物。こうした背景でも判るようにロータスの強味はしっかりした資金的裏付けがあること。でなければ、ルノー、トヨタ、フォースインデアを渡り歩いた凄腕エンジニア、マイク・ガスコインもチームに合流しなかっただろう。ドライバーもヤルノ・トゥルーリと、ヘイキ・コバライネンというベテラン+若手バリバリの理想的組み合わせ。超一流とはいえないもののいずれもF1の優勝経験があるところが心強い。残念ながら佐藤琢磨は同チームとの交渉に一頓挫をきたしたわけだが……。

 資金、人材面からから見て、新チームの中ではこのロータスがいちばん戦闘力がありそうだ。

セナの甥がドライバーのカンポスMETA1は資金調達がカギ。

 カンポスMETA1(20/21)はスペイン人の元F1ドライバー、エイドリアン・カンポスが立ち上げたチーム。

 カンポスはかつてフォーミュラ・ルノーのチームを運営していた時期にフェルナンド・アロンソを走らせたチームだ。

 META1はスペインのスポーツ選手のマネージメント会社で、エントリー資金はこのMETA1が捻出した。

 ドライバーはA・セナの甥ブルーノ・セナがまず決定。この人選はブルーノがブラジルの石油会社ペトロブラスをスポンサーに持ち込めるメリットがあったからだ。もう一人の有力候補はペドロ・デ・ラ・ロサと、2009年GP2シリーズ2位のビタリ・ペトロフ。デ・ラ・ロサはF1でのレースおよびテスト経験を買われ、またスペインのチームからスペイン人が出るとなれば、スペイン国内の大企業のスポンサードが期待できる。いっぽうペトロフに期待されるのは母国からのロシアン・マネー。つまりこのチーム最大の課題は参戦資金。その調達さえうまくできればイタリアのダラーラ社で製作されるマシンはかなり期待できる。チームのスポーティング・ディレクターは、元スーパーアグリF1で獅子奮迅の働きを果たしたダニエル・オーデッドである。

【次ページ】 アメリカ人ドライバーの育成が急がれるUSF1。

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