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消化不良の因縁の対決。 

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酒巻陽子

酒巻陽子Yoko Sakamaki

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posted2006/04/13 00:00

消化不良の因縁の対決。<Number Web> photograph by AFLO

 4月9日、セリエAの因縁対決であるユベントス−フィオレンティーナ戦は、またもや引き分けに終わった。3月18日のリボルノ戦以来勝利から見放されたユベントスにとって、サポーターからの信用を取り戻すためにも是が非でも勝ちたい試合だった。同様にフィオレンティーナも、目標とするチャンピオンズリーグ出場枠である4位を堅持するために勝利は不可欠だった。両チームとも喉から手が出るほど勝利が欲しかったはずだが、気持ちの入っていない戦いは、この日のゲーム内容を象徴した。

 両チームが勝利を逃した理由をアットランダムに並べてみる。

(1) 采配ミス:精彩を欠くネドベドをピッチに残し、好調だったデルピエロを後半25分に途中交代させたカペッロ監督の意図が読めない。プランデッリ監督も、本来左サイドが定位置のMFヨルゲンセンを右で起用したこと、後半、守備をモディファイしたことが裏目に出た。

(2) 低レベルのファウル:相手のユニフォームを引っ張る、動きが止まった際にボールを抱え込む、などイエローに値するファウルを連発した。

(3) サイドを活用しない攻撃とセットプレーでのミス:中央からの攻めに集中しすぎてサイド攻撃がおろそかだった。更にユベントスは10回のコーナーキックを一つとして決定機に結びつけられなかった。

(4) エリア内でのシュート力の欠如:FWイブラヒモビッチは3本のシュートを外し、フィオレンティーナはリゴリスタ(PKを蹴る選手)不在で、代役のFWヒメネスがPKを失敗する有様。

 付け加えて、ユベントスは選手個々がチームに漂う危機感を乗り越えようという気持ちの切り換えができない。そのために名将カペッロもお手上げ状態だ。フィオレンティーナは攻撃的ミッドフィルダーの起用に困ると、右サイドに置いて解決しようとするプランデッリの悪癖が問題だ。この「癖」で、現在ボルトンに所属するMF中田英がパルマ時代に右サイドでプレー。それでも当時の中田は遜色なく仕事をこなしたが、最終的には起用法を巡って監督と確執に及んだのは有名なエピソードである。

 いやな流れのゲームで唯一の見せ場は、イタリア代表FWによる得点シーンだった。デル・ピエーロの自己通算193ゴールはユベントスに希望をもたらす同点弾となり、27ゴール目を決めたフィオレンティーナのFWトニは、バティストゥータが持つチームのシーズン最多得点記録を11年ぶりに破る快挙を成し遂げた。

 リーグ終盤となると、醍醐味は個人技にしかないと、虚しさが残る因縁対決だった。

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