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熱かったシーズンを終えて 

text by

小尾慶一

小尾慶一Keiichi Obi

PROFILE

photograph byNBAE/gettyimages/AFLO

posted2007/06/28 00:00

 今季も、NBAは熱かった。

 その中でも、最高級の驚きと感動を与えてくれたのは、若きスーパースター、レブロン・ジェームズ。総得点リーグ2位の好成績でプレーオフに乗り込み、所属するキャバリアーズを、球団史上初のNBAファイナルへと導いた。

 圧巻だったのは、カンファレンス決勝の第5戦だ。堅い守備を誇るピストンズを相手に、プレーオフキャリアハイの48点。しかも、驚くべきことに、キャバリアーズ最後の25得点を、ひとりで叩き出したのである。鋭いドライブからのダンク、ダブルチームをかいくぐってのジャンパー、スピンムーブや身体を反転させてのフェイダウェイ──。考え付く限りの、ありとあらゆるスキルを駆使して、ディフェンスをずたずたに切り裂いた。初めてのファイナルでは、思うような結果を出せずに敗れ去ったが、レブロンはまだ22歳。NBAの頂点に立つのは、時間の問題である。

 驚きという意味では、ウォーリアーズもインパクトが強かった。ウェスト8位に食い込み、13年ぶりにプレーオフに出場。ウェスト1位・シーズン勝率81.7%のマーベリックスと対戦し、これを撃破した。8位シードが勝利するのは、4戦先取制になって以来初めて。2回戦で姿を消したものの、ヘッドコーチのドン・ネルソンが提唱するスタイル──スピーディで超攻撃的なオフェンス「ランアンドガン」──でファンを大いに沸かせた。

 この対戦で、マーベリックスのダーク・ノヴィツキーは、シーズンMVPの力をほとんど発揮できなかった。だが、それ以上にふがいないのは、前年度王者のヒートだ。シーズン中は、シャキール・オニールやドゥエイン・ウェイドなどの主力が、故障で長期離脱。チームとしてまとまることができないまま、1回戦で早々に敗退してしまった。

 逆に、さすがの強さを見せたのは、スパーズ。ティム・ダンカン、トニー・パーカー、マニュ・ジノビリの「ビッグ3」に隙はなく、ファイナルではキャバリアーズを一蹴した。分岐点は、サンズと対戦したカンファレンス準決勝の第4戦だ。スパーズのロバート・オーリーの乱暴なファールがきっかけで、両軍の選手がもみ合う騒ぎに発展。この騒動で、サンズはアマレ・スタッダマイアーとボリス・ディーオウが出場停止となってしまった。スパーズもオーリーが処分を受けたが、主力を失ったサンズの方が圧倒的に不利。これがなければ、ファイナルで輝いたのは、サンズだったかもしれない。

 話題の豊富さという点で、ナゲッツを忘れてはいけない。12月のニックス戦で乱闘事件を引き起こし、カーメロ・アンソニーらが出場停止処分。飛躍を期待されたシーズンに暗雲が立ち込めたものの、その数日後に、電撃トレードで、スーパースターのアレン・アイバーソンを獲得。シーズン終盤に一気に調子を上げ、4月の勝率は9割を超えた。プレーオフではスパーズに1回戦負けを喫したが、この勢いを維持できれば、来季こそ飛躍を遂げられるだろう。

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