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海外サッカーコラム
決勝戦のマン・オブ・ザ・マッチは40メートルFKを決めたチアゴに。この選手権での五輪出場枠は、開催国のイギリスを除くと3枠あり、優勝したスペイン、2位スイス、3位ベラルーシが獲得している
photograph by Mutsu Kawamori
リーガ・エスパニョーラの愉楽

ロンドン五輪金メダルの大本命!
欧州王者に輝いた若きスペイン代表。

中嶋亨 = 文

text by Toru Nakajima

photograph by Mutsu Kawamori

試合終了直前で同点に追いつかれてから本領発揮!!

 その後の試合展開は南アフリカW杯でスペインが敗れたスイス戦のようだった。自陣で守備を固めるベラルーシをスペインが攻め立てるものの、粘り強い守備の前にフィニッシュの精度を欠き時間が経過していった。

 だが89分、誰もがベラルーシがこのまま逃げ切ると思ったその時、同点ゴールが生まれた。そのゴールはこの大会で若きスペイン代表が手に入れたものが何であるかを象徴していた。

 ベラルーシが相手陣内へと蹴り出したボールを拾ったスペインは、そこから敵陣へとショートパスを繋いで侵入した。この時間帯ならば多くのチームが“何かが起きること”に望みを託して敵陣深くボールを放り込む選択をしただろう。パスサッカーの軸だったアンデル、ムニアインに代えて、サイドアタッカーのカペルとジェフレンを、CBドミンゲスに代えてFWボージャンを投入し前線に人数を揃えている状況ならばなおさらだ。

 しかし、スペインは最終ラインからサイドへとショートパスを繋ぎ、それによって中央に生まれたスペースにボールを入れて、ベラルーシ陣内に攻め入った。

“試合をコントロールしきる”力を身につけたスペインが欧州を制覇。

 全ての選手が自陣で守備を行なっていたベラルーシ守備網をこじ開けるためにスペインの選手たちが取ったポジショニングは、全てが完璧だった。

 左サイドハーフとして投入されたカペルはボールの流れによって生まれるスペースを読み、中央に位置を変えてパスを受けると、すかさずベラルーシ最終ライン前のスペースに入り込んだチアゴへとリターンパス。チアゴはスペインのショートパスを封じようと左寄りによっていたベラルーシ守備網の右大外に張り出したジェフレンへとスルーパス。これをジェフレンがダイレクトで折り返すと、CBに寄せられるよりも一瞬早くアドリアンがボレーで合わせて劇的な同点ゴールが生まれた。

 この同点ゴールで試合の勝敗は決したも同然だった。延長戦に持ち込んだスペインは試合開始からそうであったようにベラルーシ陣内で攻撃を仕掛け続け、2点を追加。3-1と逆転勝利を収めてロンドン五輪出場権を獲得した。

 3日後に行なわれたスイスとの決勝、スペインは完勝した。すでにA代表デビューを果たしているシャキリを始め、2009年のU-17W杯優勝を果たした選手たちが揃うスイスだが、スペインはきっちりと試合をコントロールし、2-0と勝利。イングランドとの初戦とは見違えるほど成熟したチームは、見事に欧州制覇を達成した。

<次ページへ続く>

【次ページ】 「パスをつなぐことを選手たちもベンチも迷わなかった」

豊福晋のバルセロナ・マニアックス
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