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決勝戦の見所となる2種類の4-4-2。 

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杉山茂樹

杉山茂樹Shigeki Sugiyama

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posted2004/05/17 00:00

決勝戦の見所となる2種類の4-4-2。<Number Web> photograph by AFLO

 4-4-2対4-4-2。5月26日、ゲルゼンキルヘンの「アウフス・シャルケ・アレーナ」で行われる決勝戦は、布陣を3分割で表すと両軍とも同じ数字が並ぶ。

 だがモナコの4-4-2が、ほぼ文字通りの4-4-2に近いのに対し、ポルトの4-4-2は、中盤が菱形を成す4-「1-2-1」-2だ。その違いがピッチの上にどのように反映するのか。大きな見所の一つと言える。

 ポルト型は守備的MFが1枚(コスティーニャ)。モナコが得意のサイド攻撃を仕掛けてきた時、どう対処するのか。ロテン(左)とジュリー(右)を誰がマークするのか。両サイドバック(ヌーノ・バレンテ=左、パウロ・フェレイラ=右)なのか、菱形の左右(マニシェ=左、ペドロ・メンデスorアレニチェフ=右)なのか。ポルトは、ジュリーとロテンを高い位置で止めることができれば、優位に立てるかもしれないが、低い位置になると苦しい。

 さらにモナコは、両サイドバック(左=エブラ、右=イバーラ)も、ロテン、ジュリーと等間隔を保つように、同歩調で攻め上がってくる。両者の攻め上がりを誰が止めるのかも焦点になる。陣形を重ね合わせてみれば、モナコの両サイドバックは、比較的自由な状態にある。彼らを止めるためには、布陣を 4-1-3-2気味にしないと(菱形の左右が高めに位置しないと)苦しい。だがそうなれば今度は、ロテンとジュリーを動きやすくさせる。ポルトの 4-4-2は、一歩間違うと4-3-1-2に陥る危険をはらんでいる。後方に人数を多く割く、守備的サッカーになりかねない。攻撃はデコ、デルレイ、カルロス・アルベルトの3人に頼らざるを得なくなる。

 繰り返すが、モナコの長所は両サイド攻撃だ。モリエンテスを軸にする2トップの破壊的な得点力を支える源でもある。ポルトはそれへの対応が疎かになりかねない状況にある。ポルト苦戦か。理屈的にはそう考えられる。

 なぜ、ポルトが敢えてそんな布陣を引くのかといえば、2トップ下で構えるデコを生かしたいからに他ならない。彼にはそこが最も相応しいポジションで、 その力が最大限に発揮されることが、勝利への近道だとモウリーニョ監督は考えているのだろう。

 目につくのは、布陣上では2トップの下に位置するデコが、実際にはサイドに開いて構える時間が多いことだ。さらに言えば、2トップの左、カルロス・アルベルトはさらにサイドに開き、左ウイング的なポジションを取ることも多い。つまり3者は、布陣図よりずいぶんワイドに構えている。4-3-3に見える時間帯はかなり長い。10人のフィールドプレイヤーは思いのほかピッチに均等に配備されている。穴はありそうでない。ここがミソだ。選手たちは自分たちが変則シフトを敷いていることを心得、常に全体の布陣図を頭に入れながら臨機応変に対処している。従来のポルトガルのチームとの決定的な違いでもある。相手にボールを奪われた時、自ずと高い位置で網は掛かる。プレスも効きやすい。その上、選手は勤勉だ。訓練もされている。守備の意識も高い。もちろん、ポルトガル特有の個人技も備えている。

 理屈上では、サイド攻撃に一日の長があるモナコ優位は否めない。しかしポルトには臨機応変さがある。面白い決勝になると思う。

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