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【キリンカップ2009 日本×ベルギー】
快勝の余韻を打ち消した
格下相手への“慢心”。 

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木ノ原句望

木ノ原句望Kumi Kinohara

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photograph byTamon Matsuzono

posted2009/06/02 15:00

【キリンカップ2009 日本×ベルギー】 快勝の余韻を打ち消した格下相手への“慢心”。<Number Web> photograph by Tamon Matsuzono

油断こそがW杯出場を阻む障害である。

 もちろん、このベルギー戦には割り引いて考慮すべき要素がいくつかある。ベルギーは主力不在の“飛車角落ち”状態で、国際経験が未熟な若手主体、しかも2日前に強敵チリとの対戦をしたばかりで、ほとんど引いて守備を固めるばかりのプレースタイルに終始していた。

 しかしながら、6月6日にアウェーで迎えるウズベキスタン戦、10日の横浜でのカタール戦、17日のメルボルンでのオーストラリア戦と続く最終予選最後の3連戦を前に、日本がプレーオプションを一つ増やしたことはプラス材料に違いない。

 だからこそ、レベルに差のあるベルギーとの対戦で、日本が前半に2-0とリードした後に見せた中だるみや、気迫のないプレーは気になる。前半31分には、DF闘莉王のトラップミスをMFケビン・ローランツにさらわれてシュートまで持って行かれる場面もあった。最終予選のシビアな戦いでは、気の緩みが流れを変え、思わぬ躓きとなりかねない。

ウズベキスタン戦では今度こそ“本気度”が問われる。

 それに、ウズベキスタンはこの日のベルギーとは格段の差がある相手だ。プレーオフによる予選突破の可能性を残し、しかもホームでの戦いとなれば必死のはずだ。ちなみに、現在行なわれているアジアチャンピオンズリーグの西地区のラウンド16(決勝トーナメント1回戦)で、サウジアラビア勢やイラン勢を退けて準々決勝に駒を進めたチームのうち2つは、ウズベキスタンのブニョドコルとパフタコールだ。2007年アジアカップでのベスト8進出といい、近年、ウズベキスタンが力をつけていることは間違いない。

 岡田監督もキリンカップでの2勝で選手の気が緩むことを警戒して、「この2試合で得点もあげて無失点だったからといって、ウズベキスタン戦の何を保障するものでもない」と警鐘を鳴らした。

 岡田監督は、予選突破は当然クリアすべきハードルで、本大会でのベスト4入りをチームの目標に掲げている。「そのためには目標達成を信じて本気で取り組む姿勢が不可欠だ」と、この日、あらためて語ったが、“本気度”が必要なのはなにもワールドカップ本大会に限らない。新たな収穫を手にしたからこそ、あらためて問いたい。各人の“本気度”に緩みはないか。大事な戦いを前に、最も注意すべきはそこかもしれない。

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