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F1開幕、勝負のキーポイント。 

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西山平夫

西山平夫Hirao Nishiyama

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posted2009/03/28 23:36

F1開幕、勝負のキーポイント。<Number Web> photograph by AFLO

 3月29日、オーストラリアのメルボルン(アルバートパーク・サーキット)でいよいよ今季F1が開幕するが、勝負のキーポイントは何か?

 キーとなるひとつに挙げられるのは天気とタイヤの関係だ。今年はシーズン中のテスト禁止もあってオフシーズンが長く、昨年より2週間も遅い開幕となる。開幕戦のオーストラリアは日本とは気候が正反対で、これから本格的な秋に向かう。日本になぞらえるなら9月下旬にあたり、天候不順に悩まされる時節だ。それがキーポイントと話すのはF1タイヤを一社供給するブリヂストンの浜島裕英MS・MCタイヤ開発本部長である。

「季節的に寒くなる時期に加え、決勝スタートが夕方の5時で路面も冷えてきます。開幕戦に投入するタイヤは、今年4種類用意したスペックの中で最も柔らかいスーパーソフトと、軟硬中間のミディアム。すぐに温まってグリップが出るスーパーソフトにはいいコンディションでも、ミディアムには冷た過ぎるかもしれません。路面が濡れていないレースでは2種類両方を使わなければならない規則ですから、ミディアムタイヤがグリップせずにマシンが滑って、それがタイヤを傷めることになりかねない。そこでどううまくセッティングをクルマに施すかがチームに問われますし、ドライバーにはタイヤを上手に養生する運転が求められます」と、勝負どころを指摘する。

 さらに「今年は12年ぶりにスリック(溝なし)タイヤが復活しました。その前後サイズは昨年のグルーブド(溝あり)タイヤのままですから、スリックとしてフロントのグリップが優っていて、ただでさえリヤが滑りやすい。そういうタイヤコントロールが上手なのはフェラーリのライコネンや、ルノーのアロンソです。フェラーリはオフテストで強烈な速さを見せませんでしたが、常に安定していました」と言い、ライコネンを本命に挙げた。

 浜島エンジニアの言葉にあるように、トップチームが必ずしも優位でなかったのが今年のオフテストの特徴だ。とりわけ、昨年ドライバーズタイトルを奪ったルイス・ハミルトンを擁するマクラーレンが大不振。それもあって群雄割拠の面白いシーズンになりそうだと言う。

 なかでも注目したいのは、体制が一新され、ホンダからメルセデス・ベンツにエンジンを換装した新生ブラウンGP。新車発表が2月と10チーム中最も遅く、しかもそれまでにほとんどテストを行なわなかったにもかかわらず、合同テストに現れるや驚くべき速さを見せて周囲を驚嘆させている。本命に推せるほどではないにしても、台風の目となることは間違いない。

 もうひとつ、パナソニック・トヨタF1チームからも目が離せない。オフテストがきわめて順調で、信頼性の高さは抜群。3月16日に開かれたトヨタ・モータースポーツ活動発表会で、山科忠チーム代表が「必ず初優勝する。序盤4戦は全部のレースで勝つ可能性がある」と断言している。

 このほか、KERS(エネルギー回収システム)を積極的に推し進めてきたBMWの存在が不気味だ。マクラーレン、フェラーリを食いそうな“曲者”チームだらけで、勝負の見えないオーストラリアGPのスタートが楽しみである。

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