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問われるルノーの真価 

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西山平夫

西山平夫Hirao Nishiyama

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photograph byPaul-Henri Cahier

posted2005/04/20 00:00

問われるルノーの真価<Number Web> photograph by Paul-Henri Cahier

 「寒いうちはオンマさんだって走りたくありませんよ」

 いまは亡き競馬評論家・大川慶次郎さんがいつかTVで冬競馬の解説をしながらそんなことを言って周囲を笑いの渦に巻き込んでいたのを、いま思い出した。

 それにかこつけるわけではないけれど、春なお浅き季節のレースはどことなく食べ物でいうところの“走り”という感じがして、いまひとつ盛り上がりに欠ける。

 お前、開幕戦をいまかいまかと待っていたのに、いざ始まってからそういう言い草はないだろうと叱られるかもしれないが、ホンネはそうだ。

 3月初旬、オーストラリアのメルボルンで開幕した今年のF1グランプリ・シリーズは2週間後にマレーシア・セパンで第2戦を、さらに2週間後にバーレーン・サキールで第3戦を消化したけれども、これらはいずれも温かい地方での巡業場所である。マシンにせよレースにせよなにかこう促成栽培の気味が漂う。同じ時期、F1グランプリの本場ヨーロッパがまだ寒気にさらされていることを思うと、無理やり馬房から出された馬達がムチで追われている感じがしないでもない。むろん、れっきとした世界選手権の各戦なのだが、プロ野球でいうところのオープン戦みたいなところがなきにしもあらず。要はすべてのチーム、マシン、ドライバーがまだまだ全力で渡り合っていないのだ。

 開幕3連戦はこれまでダークホース扱いされていたルノーが3連勝し、周囲をアッと言わせた。昨年18戦1勝しかできなかったチームが開幕3連勝するのだから、いくら前評判が高かったとはいえ、ビックリするなという方が無理だ(と、予想が外れた筆者逃げる)。

 そのルノーの躍進に水を差すわけではないが(その気味もあるが)、本命フェラーリ、そして今年念願の初優勝が期待されるBARホンダの不振がルノーの快速ぶりをより際立たせているということは言えると思う。昨年のコンストラクターズ・ランキングはトップから順にフェラーリ、BARホンダ、そしてルノーは3位だった。

 ここまで3戦のルノーの勝ち方を見ると、すべて独走である。つばぜり合いの末に勝つのではなく、スタートダッシュでポーンと飛び出し、追走するチームが自滅するのを尻目に最後は余裕のチェッカー!逃げて先行する馬を追い込んで来るライバルがいないのだ。実に鮮やかな逃げ切りだったが、しかしさすがに3戦もやるとお互いの手の内が見えたし、マシンのパフォーマンスの相対評価もできあがって来る。ライバル勢も敗れたりとはいえ、いや敗れたからこそ自分達の弱点を冷静に見つめ直すことができる。

 F1第4戦からF1の舞台は本場ヨーロッパに移る。開幕3戦のインターバルは2週間だったが、バーレーンからサンマリノまでは1週間長い3週間と、マシン調整の時間はタップリあった。ルノーのライバル達のヨーロッパからの巻き返しが期待できるし、それでもなおルノーが速ければ、その実力は文句のつけようがない。現在コンストラクターズ・ランキング2位のトヨタも、いよいよ真価が問われる。

 サンマリノ、スペイン、モナコ……戦いを重ねるにつれ、オンマさんならぬマシン達も一生懸命走るだろう。その楽しみを胸に、明日サンマリノに発つ。

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