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帝国の逆襲が始まった 

text by

西山平夫

西山平夫Hirao Nishiyama

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photograph byHiroshi Kaneko

posted2005/05/26 00:00

帝国の逆襲が始まった<Number Web> photograph by Hiroshi Kaneko

 F1きってのクラシック・イベント、モナコ・グランプリはマクラーレン・メルセデスを駆る“アイスボーイ”ことキミ・ライコネンの初優勝で幕を閉じた。ライコネンはこれでサンマリノから3戦連続ポールポジション、スペインから2連勝。ドライバーズ・ランキングでも首位アロンソ(49点)に次ぐ2位(27点)に浮上した。

 ドライバーズ・ランキングを3位から2位に押し上げたことも嬉しかろうが、なにより伝統のモナコを制したことは一勝の重みが違う。堂々一流ドライバーの仲間入りを果たしたことで、ドライバーもチームも今シーズンこれからの戦いに大きな弾みがついたことだろう。

 「モナコは特別なレースだからね。数年前、あともうちょっとで勝つところまで行ったが、モントーヤに阻まれてしまった。しかしいまそれがやれたんだし、凄く嬉しいよ。優勝の10点は他のレースとは変わらないけど、モナコは特別な場所、周りの注目度も違う。もちろん今夜はパーティさ!」

 優勝コメントを発するアイスボーイは、珍しく頬を紅潮させていた。

 ところでマクラーレンにエンジンを供給するメルセデス・ベンツにとって、今年のモナコは参戦延べ200戦目にあたるものだったが、意外なことにメルセデスのモナコ優勝はこれが4勝目。200戦して4勝ならそれほど悪い勝率ではないが、名門メルセデス・ベンツにしてはちょっと物足りない数字。しかし同社には38年間もの永い“不在”の時期があったのだ。

 戦後メルセデス・ベンツがF1グランプリに参戦したのは1954年からで、ファン-マヌエル・ファンジオが2年連続チャンピオンを獲ったものの、55年、F1グランプリならぬル・マン24時間で大事故を起こし、この年限りで撤退。F1復帰は1994年になってからで、モナコ初優勝は1998年(M・ハッキネン)。その後D・クルサードが2勝し(2000、2002年)、今年のライコネンに繋がるのだ。

 その記念すべきイベントで優勝するあたりにライコネンの“引き”の強さを感じるが、過去にメルセデス・ベンツがモナコで勝った年はチャンピオン(98年ハッキネン)、ドライバー選手権2位(2000年ハッキネン)などチームが上昇機運の時だった。このモナコの勝利が、ライコネンの今後の行方を大きく左右するかもしれない。99年からタイトルに無縁だったマクラーレン・メルセデスだが、今年のモナコで完全復活した。帝国の逆襲が始まったのだ。

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