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ナポリの「欧州戦線奪回作戦」。
智将マッツァーリの掛ける“魔法”。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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photograph byUniphoto Press

posted2009/11/30 10:30

ナポリの「欧州戦線奪回作戦」。智将マッツァーリの掛ける“魔法”。<Number Web> photograph by Uniphoto Press

48歳のマッツァーリ監督。くすぶっていた選手を開眼させる手腕は見事だ

 イタリアには、代表以外に「アッズーリ」と呼ばれるチームがもう1つある。かつてマラドーナやカレカを擁して欧州でも名を馳せたSSCナポリは、貧しい南部から世界中へ出稼ぎに出るナポリ人たちの心の拠り所として、今でも北のビッグ3に次ぐ人気を誇る。'80年代の黄金期の後、没落の一途を辿り、低迷をかこっていたが、映画王である野心的な会長と知性派新監督の下、今季ついに進軍ラッパは鳴らされた。ナポリの「欧州戦線奪回作戦」がスタートしたのだ。

21年ぶりにユベントスをアウェイで撃破!

 開幕前、地元出身のイタリア代表FWクアリアレッラを獲得するなど5600万ユーロを費やした豪華補強に、激情型のナポリ人たちは色めき立った。しかし、2年目の指揮官ドナドーニは自分の理想にこだわったために、成績不振で7節後にあえなく更迭。後任となったのは知性派指揮官として評判の高いマッツァーリ(前サンプドリア監督)だった。

 彼の下でチームは13節までの6試合を3勝3分の無敗街道。特に、後半の2点ビハインドから劇的な逆転勝ちを収めたユベントス戦は、21年ぶりの敵地勝利とあって、ナポリ空港に1500人のサポーターが出迎え凱旋を祝った。現在7ゴールでチーム得点王のMFハムシク(スロバキア代表)は「あの試合は一生忘れない。今のチームには絶対に諦めないガッツが注入されている」と指揮官の手腕を強調した。ドナドーニ監督時代とほぼ同じメンバーながら、結果を出し続けるマッツァーリ。一体どんな魔法を使ったのか?

マッツァーリ監督は選手との信頼関係を重視する。

「私が考えるに、ロッカールームとは(強制的な空気が支配する)“兵舎”であってはならないんだ。私は360度の角度から選手たちと接し、彼らと対話をくり返した上で、適したポジションと機会を与える。彼らのために私の携帯は24時間つけっぱなしだし、私のオフィスの扉はつねに開放している」

 マッツァーリの信条は、中村俊輔を擁したレッジーナ時代から何らブレることがない。何よりも第一に考えるのは、選手との強固な信頼関係。レッジーナは'06-'07シーズンにカルチョ・スキャンダルの影響でマイナス11点もの勝点ペナルティを課されていたが、マッツァーリの下、チーム一丸となって奇跡的残留を果たした。智将としての評価は決定的なものとなり、アンチェロッティ監督(当時ミラン)も「同業者として尊敬に値する」と惜しみない賛辞を送った。

<次ページに続く>

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