佐藤琢磨 グランプリに挑むBACK NUMBER

トップ10 マレーシアGP 

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西山平夫

西山平夫Hirao Nishiyama

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photograph byMamoru Atsuta(CHRONO GRAPHICS)

posted2007/04/12 00:00

トップ10 マレーシアGP<Number Web> photograph by Mamoru Atsuta(CHRONO GRAPHICS)

 「他のチームはパフォーマンスランも、ロングランも全体的に速くなっています。きびしい戦いになると思いますね」

 佐藤琢磨の今季第2戦が楽観視を許さないものになるだろうことは、他ならぬ本人があらかじめ決意していたことだった。

 開幕戦はホンダ・ワークスもできなかったQ3(第3予選)進出を果たしたが、いざ決勝になるとタイヤがグリップダウンを起こし、予選から2ポジションダウンの12位でフィニッシュ。その反省からマレーシアの週末直前「メルボルンでは予選で力を出せたが、マレーシアは決勝で力を出し切ることを目標にしたい」と決意を述べた。

 さいわいなことにマレーシア・グランプリの前週には事前テストが行われ「フェラーリとの差を見るとウチもいいところへ行っている」ことを確認できた。ロングランをかけてもタイヤの落ち込みが少ないのだ。もっとも冷静に考えれば「現実的にQ3進出は難しいと思います。いかにQ3<トップ10>に近い位置でQ2を終えるか、ですね。Q2の頭を狙いますよ」というあたりが予選のターゲットである。

 金曜日は風が強く、その外乱によってマシンの状態が安定せず14位。土曜日は風も収まり、午前中は快調に行くかと思いきや、2種類のタイヤのうち予選に使う柔らかい方のタイヤ(ミディアム)で走り始めると、とんでもなくオーバーステアが強い症状に陥るはめになった。このことで、キチンとした予選の用意ができないまま午前中を終えなければならないことになった。

 さらに予選が始まると、ビックリすることが待っていた。予定ではまずハードタイヤの新品で足慣らしして、しかるのちにミディアムに履き換えてアタック。ところが走り出してみると、中古のハードタイヤがついているではないか!マシンは予選セッティングになっている。そこに使い古しのタイヤを履かせたのでは、極端にオーバーステアになってしまう。琢磨は「いったい何がどうなったのかとっさには理解できなかった」というが、かくなる上は仕方がない。ワンチャンスにかけて精一杯の走りを展開。マシンはスライドしていたというもののなんとか16位でQ2進出。この出遅れが尾を引いて、Q2は14位止まりだった。

 「もうちょっと上に行きたかっただけに、ちょっぴり残念」と悔しそうに言うが「手応えはあったし、レースは何が起こるか分からないから」と、決勝に期待も持たせた。

 スタートはいつものように好ダッシュ。ところが急減速する1コーナーから2コーナーにかけて「前が詰まって…」3台並んだいちばん外にいた琢磨はコースから押し出される形になり、そのさいフロントノーズがラルフ・シューマッハーのリヤとわずかに接触して孔が開き、以降、空力バランスに苦しんだり、ピットストップで右前輪のホイールナットが欠けて着脱がスムーズに行かず数秒のロスタイムを喫したりで13位フィニッシュ。予選ポジションをひとつ上げたとはいえ、予選の滑り出しからいまひとつボタンを掛け違えたようなレースになってしまった。

 もっとも「トータルで見れば、いい場面もあった」というように、1コーナーのブレーキングでバトンを下すシーンも見られた。予選もよく、決勝もよく……そんなレースを1週間後のバーレーンに期待したい。

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