チャンピオンズリーグの真髄BACK NUMBER

日本の皆さんに観戦のコツ教えます。 

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杉山茂樹

杉山茂樹Shigeki Sugiyama

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posted2004/09/06 00:00

日本の皆さんに観戦のコツ教えます。<Number Web> photograph by AFLO

 ポルト対モナコ。誰もが予想しなかった顔合わせとなったとなったゲルゼンキルヘンの決勝戦から、はや3カ月が経過した。今年はその間にユーロ2004やアテネ五輪もあったのだから、もうちょっと待って欲しい気もするが、欧州サッカーは容赦なく次のカレンダーをめくってくる。そして、去る8月26日にモナコで行われた組み合わせ抽選を見せられると、胸は徐々に高鳴り、9月14日の開幕が待ち遠しくなる。

 チャンピオンズリーグには、サッカーにまつわるいろいろな魅力がぎっしり凝縮されているが、日本人にとってのチャンピオンズリーグという視点で言うと、欧州から伝わってくる報道に直に耳を傾ける前に、改めて確認しておかなければならないことがある。異なる文化に接するための準備が必要なのだ。

 各国リーグは、Jリーグと同じ感覚で見ればいいので、ある意味で分かりやすいイベントだが、「チャンピオンズリーグ」はアジアにはない。正確に言うとないわけではないが、日常的ではないし、注目度も低い。威厳も違えば格式も違う。賞金の額も違う。

 それぞれを眺めるレンズは、各国リーグとチャンピオンズリーグとでは、異なる種類のものが要求される。ズームとワイドを巧みに使い分けしないと、欧州サッカーの実態は見えてこない。

 欧州には、各国リーグの優劣を示すUEFAランキング(過去5年の欧州クラブ戦線での成績をポイント化したモノ)がある。現在の上位国の順位は以下の通り。

 1位スペイン(79852点)、2位イングランド(62155点)、3位イタリア(59186点)、4位ドイツ(49491点)、5位フランス(48327点)、6位ポルトガル(42333点)。

 スペインは独走状態。2位、3位争いは接戦ながら、旗色はイングランドの方が良い。4位、5位争いも接戦で、こちらはフランスの方に勢いがある。欧州大陸に吹くこの風向きを知っているのと知らないのとでは、見えてくる世界は全然違う。そして、その原因と理由を探ろうとした時に、ズームとワイドの使い分けは必須になる。

 特定の国(リーグ)や、クラブに必要以上に肩入れしない。これは僕のこだわりだが、理由は僕が日本人であるからだ。興味の対象は日本とアジアにはない概念(文化)の中で行われている欧州サッカーすべて。そしてチャンピオンズリーグには、欧州各地から強者が32チームも出場する。スタイルは、大袈裟に言えば千差万別だ。同じ概念に偏りがちな各国リーグの試合を見るより、異文化が交錯した瞬間に見えてくるものの方に、サッカーを楽しむ上でのヒントはより多く隠されている。特に、これから代表チームがW杯予選という重要な戦いに入る日本人には、参考にすべき点が多々目に留まるはずだ。

 昨季のポルトやモナコのような「番狂わせ」を演じそうな好チームを探す楽しみもある。だから、とりわけグループリーグの段階では、いろいろなチームを見たい。各国リーグの観戦は、どうしてもランキング上位の主要国に偏りがち。ポルトやモナコのようなチームは発見できにくい環境にある。そういう意味では、スター選手ばかりでなく、名の知れていない選手にも注目したい。昨季、ポルトの選手は大会前、ほとんどが無名だった。しかし、ユーロ2004を経たいまではメジャー。欧州は広いのだ。意外なパワーを秘めた何かがゴロゴロ転がっている。チャンピオンズリーグ観戦は、ユーロのサイズに適したレンズで臨みたい。

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