MLB Column from WestBACK NUMBER

チームを変える2番打者。 

text by

菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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photograph byAFLO

posted2008/05/21 00:00

チームを変える2番打者。<Number Web> photograph by AFLO

 唐突だが、貴方が選手を評価する場合、何を基準にしているだろうか?やはり選手の個人成績が、最も利用しやすく、指標になりやすいデータではあるだろう。

 だがもし貴方が、チームのGMだったとしたらどうだろうか?個人成績も大切だろうが、それ以上にその選手が加入することでチームが勝ち続けることが最も重要になってくるはずだ。そういった意味で、現在GMを殊の外喜ばせている日本人メジャー選手は、アストロズの松井稼頭央選手をおいて他にはいないだろう。

 確かにここまで好調を続けているカブスとレイズで主力として活躍している福留孝介選手や岩村明憲選手も、その活躍を否定することはできない。しかし松井稼選手のチームに及ぼす影響力は計り知れないものがある。とりあえず以下のデータをご覧頂きたい。

<勝率>

3割7分5厘(6勝10敗)→6割5分5厘(19勝10敗)

<チーム打率>

2割3分3厘(531打数124安打)→2割8分(1012打数283安打)

<1試合平均得点>

3.75(16試合60点)→5.62(29試合163点)

<チーム防御率>

4.39(16試合67自責点)→4.37(29試合125自責点)

※データは5月19日現在

 以上のデータは、開幕直前に臀部の手術を行ったため戦線離脱していた松井稼選手の“復帰前”と“復帰後”のアストロズのチーム成績を単純に比較したものだ。もちろん松井稼選手は野手だけに投手の成績はほとんど変わっていない一方で、打撃陣の成績が著しく上昇しているのがわかるだろう。しかし実際問題として、松井稼選手が他の打者の打撃にまで影響を与えることが本当に可能なのだろうか。

 「自分で(チームの)流れを変えられるなんて思っていない。自分は2番としての役割をしたいと思っているだけですから。回りの人がどう思うか知らないけど、そういう風に思うこと自体がどうかなと思う。自分はできる範囲のことをやっているだけですから」

 松井稼選手自身は完全否定するが、一方で、アストロズ関係者はまったく違う見方をしているのだ。

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松井稼頭央
ヒューストン・アストロズ

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