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2006年を振り返ると 

text by

石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

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photograph byToshiya Kondo

posted2006/12/08 00:00

2006年を振り返ると<Number Web> photograph by Toshiya Kondo

 思い起こせば1年前のこの時期、テレビを見ていると数十分に1度の頻度で大みそ日興行のスポットCMが流れていたものだ。

 TBS系では須藤元気VS山本KID徳郁、フジテレビ系では吉田秀彦VS小川直也をクローズアップし、茶の間を巻き込まんばかりに熱を帯びていた。

 だが、今年ときたらどうだろう。昨年のことを思えばハッキリ言って寂しいことこの上なく、盛り上っているとは言い難い。

 もちろん今年は地上波放送がTBS系の『K−1 PREMIUM2006 Dynamite!!』ひとつだけというのもあるのだが、それにしたってカードがほとんど発表されていないのは問題だ。これを書いている12月7日現在、発表されているカードは、Dynamite!!』が秋山成勲VS桜庭和志、魔裟斗VSチェ・ヨンス、『PRIDE男祭り2006−FUMETSU−』は、エメリヤーエンコ・ヒョードルVSマーク・ハント、五味隆典VS石田光洋、マウリシオ・ショーグンVS中村和裕、川尻達也VSギルバート・メンデス、青木信也VSヨアキム・ハンセンといった具合である。

 比較的『PRIDE男祭り』のほうはカードが出始めているものの、双方のメインを見てもこれまでのような「えっ!?」といったパンチ力に欠けている。筆者としては、五味VS石田、川尻VSメンデスあたりに注目してはいるが、一般の人にしてみれば、いささか馴染みの薄いカードといえるかもしれない。

 噂では両陣営ともサプライズカードを用意しているとのことで、その水面下での調整によりカード発表が遅れているというが、期待をかけるとするなら『Dynamite!!』は須藤と所英男、そしてKIDの動向、『PRIDE男祭り』は、吉田、ミルコ・クロコップがどうなるのかといったところだろうか。ただ、このメンツでは、いずれにしても変り映えのしない状況になってしまう可能性は大なのである。変化を持たせるには、やはり他競技のビックネームの登場、あるいは金子賢といった芸能人に頼ってしまうことになってしまうのか……。

 『PRIDE男祭り』は、地上波の予定はなくスカパー!のみの放送。『Dynamite!!』は、TBS系で18:00から23:34までの超ロングラン放映。あらゆる意味で曲がり角にさしかかっている格闘技コンテンツの来年を占う意味でも、今年の大みそ日は重要な日になりそうだ。

 それにしても今年は、例年以上に格闘技界に色々なことが起こった年だった。ざっと思い出すだけでも、西島洋介のPRDIE参戦、五味がマーカス・アウエリオに敗れPRIDE初黒星、桜庭のHERO'Sへの電撃移籍、フジテレビ地上波撤退、KIDの五輪挑戦宣言、ミルコの無差別級グランプリ初戴冠、秋山がライトヘビー級王座に君臨、PRIDEアメリカ進出……。

 枚挙にいとまがないが、どちらかといえば今年は地上波撤退問題を発端としたネガティヴな話題が多かったように感じる。しかし、それは格闘技が社会に対する影響力が大きくなったということを意味していることの現れなので、決して悪いことではない。過渡期と考えればそれもまた然りであり、来年はダメージを引きずることなく改革改善を推し進めていってもらいたい。

 そんな今年のMVPは誰なのかと考えを巡らせてみると、やはりミルコということになるだろう。昨年はヒョードルに敗れ、年末にはハントにも土をつけられ限界説が囁かれていたにもかかわらず、今年の無差別級GPでは吉田、ヴァンダレイ・シウバ、ジョシュ・バーネットを撃破し見事優勝。リング上で人目も憚らず涙した姿にはグッとくるものがあった。柔道やレスリングに長けた選手が多い中、純然たるストライカーだったミルコが総合で結果を出したことは、歴史的に考えても意義のあることである。

 しかし、ミルコの物語はまだ終わってはいない。ノゲイラとヒョードルという過去敗退した選手にリベンジを果たしてこそ、ミルコの物語は終焉するのだ。

 それはまた来年の話である。

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