ジーコ・ジャパン ドイツへの道BACK NUMBER

2006年ワールドカップアジア一次予選 インド戦 「チームのまとまりが生んだ、価値ある勝利」 

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木ノ原久美

木ノ原久美Kumi Kinohara

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photograph byHideki Sugiyama

posted2004/06/11 00:00

2006年ワールドカップアジア一次予選 インド戦 「チームのまとまりが生んだ、価値ある勝利」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

 日本代表は、先日のイングランド遠征の好調ぶりをそのまま試合に持込んだようだ。

 6月9日、埼玉スタジアムで行われたW杯一次予選のインド戦で日本は7−0と大勝し、勝ち点を9に伸ばして予選3組の首位を守った。2位のオマーンは、ホームでシンガポールと対戦して7−0の勝利を収めた。

 先制点の予感は、FW久保が前半3分、6分とゴール前で小野のパスに絡んだときにあった。ケガ人以外は、先日イングランドと引分けた時のメンバーで固めて3−5−2のフォーメーションでスタートした日本は、終始安定した攻撃サッカーを展開した。

 前半13分、MF三都主のロングボールに久保がフリーで走りこんでボレーで合わせ、「勝利の道を開いてくれた」(ジーコ監督)ゴールを決めると、同25分に久保がヘディングで浮かせたボールにMF福西がボレーで蹴りこんで2点目。その4分後には中村が直接FKを決めて3−0とし、前半で試合を決めた。

 セットあり、サイドからの崩しあり、中央からの切り込みありと、いくつかのパターンで得点を重ね、終わってみれば、ジーコ体制では初めての7得点。そこに2月、3月のW杯予選で攻めあぐねたチームの姿はなかった。

 MF中村に試合勘が戻ってきたようで、この日は1得点4アシストの活躍をみせた。MF小野の冷静なゲームコントロール力は彼の存在感を際立たせ、後半24分に交替退場すると、それはさらに印象付けられることになった。久保と玉田の2トップ、彼らと中盤とのコンビネーションも磨かれてきた。特にゴールへ向かってチャレンジしていく玉田は、インドの選手にとっては厄介な存在だったようで、何度もファウルで止められていた。

 インドは立ち上がり早々にMFベンカティシュがミドルシュートを放ってGK川口を驚かせ、その後もチーム全体で粘り強く当たってきたが、FWアブヒシュク・マタフをケガで欠いてこれといった攻め手はなかった。

 日本チームの最近の好試合の背景には、選手のがんばりはもちろんだが、ジーコ監督の軌道修正がある。4バックへのこだわりから3バックという、選手が「自分達にあっている」(小野)というやり方を採用。体調のいい選手を起用して、練習でもより具体的な指示が指揮官から出るようになったことで、チームのプレーイメージが上がり、共通理解が明確になったようだ。加えて、イングランド遠征を通じて2週間という期間をチームが一緒に過ごせたことで、チーム内の相互理解が上がったと考えられる。

 ジーコ監督は、「今回初めてまとまった時間をもらえて、手ごたえを感じた。チームに結束力が出た」と話した。

 監督の軌道修正のきっかけは4月の東欧遠征時に、けが人や所属クラブの試合の関係で欧州組が思ったように招集できず、代わりにプレーした国内組が好プレーを見せたことだったかと思うが、いずれにせよ、ようやく指揮官がリアリスティックになったことで、チームづくりがうまく機能し始めたと言えそうだ。

 この日、63,148人の観衆で埋まった埼玉スタジアムは、次々と生まれる日本のチャンスと得点シーンに大騒ぎとなった。好調ぶりをキープしている小野は、「今日は(指示の)声がよく聞こえなかったが、今は指示が無くてもみんながやれるようになっている。遠征で強いチームと対戦して、経験を積めたことが大きい」と話した。

 ここ数試合でつかんだものを育てていければ、この春先まで、試合のたびに付きまとっていたフラストレーションは軽減されるかもしれないが、この上のクラスの相手と対戦したときにどうか…。次の予選(9月8日、インドにて)の前にはアジアカップがある。

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