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カペッロ、ジェラード、イブラヒモビッチがレアル入り? 

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木村浩嗣

木村浩嗣Hirotsugu Kimura

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posted2006/01/25 00:00

カペッロ、ジェラード、イブラヒモビッチがレアル入り?<Number Web> photograph by AFLO

 スペイン国営放送の番組に『エル・ロンド』(「ロンド」とはサッカー用語で囲んでボールを回す練習法)という、サッカー討論番組がある。

 毎週日曜の夜、元選手、監督、代理人、それにジャーナリストを集めて、リーグ戦の結果を振り返り、「レアル・マドリーは復活したか?」とか「バルセロナで優勝は決まりか?」などのタイムリーなテーマを議論する。1時間半とたっぷり時間はあるのだが、いつも尻切れトンボで水掛け論に終わる。スペイン人の悪い癖で、何人もが同時に話を始めて収拾がつかなくなるのだ。

 特に、うるさいのがジャーナリストだ。『MARCA』や『AS』、『SPORT』などスポーツ紙やラジオ、テレビの第一線の記者が出てくるのだが、そろいもそろって、人の話を聞くということを知らない。とにかく自己主張。討論のルールは「声が一番大きな人が勝ち」。理屈も信憑性も関係ない。私は、現役の監督や元監督の分析に興味があるのだが、目立ちたがりジャーナリストの雑音がすぐに掻き消してしまう。同業者の一人として本当に恥ずかしい。

 そんなわけで、実りは少ないのだが、たまにヒットがある。たとえば、ルシェンブルゴ解任やアリゴ・サッキ辞任は、その1カ月前にこの番組で「裏情報」として流されていた。で、先週の裏情報がレアル・マドリーの来季の陣容についてのものだ。

 それによると、監督はファビオ・カペッロ(ユベントス)。新加入の選手はビエイラ(ユベントス)、ジェラード(リバプール)、アドリアーノ(インテル)、イブラヒモビッチ(ユベントス)、ラウル・ガルシア(オサスナ)で、放出されるのは、ミッチェル、ラウル・ブラボ、ロベルト・カルロス、パブロ・ガルシア、エルゲラ、ディオゴ、グラベセン、ジダン、ロナウド。ロナウドはアドリアーノとの交換要員だという。

 来季の補強方針の一つが「若返り」になるのは間違いがない。今季の若手ナンバーワン、オサスナのミッドフィルダー、ラウル・ガルシアはまだ19歳。29歳のビエイラを例外とすれば全員が25歳以下で、逆に放出されるのは、24歳のラウル・ブラボ、23歳のディオゴを除けば、20代後半から30代。この点は理にかなっている。そのため27歳リケルメ(ビジャレアル)の獲得は無く、本人がその気の29歳バラック(バイエルン・ミュンヘン)は、バプティスタとポジションが重なるから難しいらしい。

 だがちょっと待て、ポジションが重なってるのは、それだけか?ラウールとイブラヒモビッチは? カッサーノとイブラヒモビッチは?ロビーニョとラウールは?ジェラードとグティは?????

 この補強リストにはもっとおかしなことがある。だいたい人数が合わない。放出が9人で補強が5人。差し引き4人はどうする?レアル・マドリーBから引き上げるのか?

 それに、攻守のバランスも明らかにおかしい。「加入」には見事に攻撃的な選手、「放出」には対照的に守備的な選手が並んでいる。ロベルト・カルロス、ラウル・ブラボと左サイドバックが2人、ミッチェル、ディオゴと右サイドバックも2人抜けたのに、その穴は放置しっぱなし。つまり、これはマスコミ辞令特有の“景気のいい花火”なのだ。ゴールがサッカーの華であるように、ファンやメディアはアタッカーを好む。いや、代表監督が選ぶFIFA最優秀選手でも受賞者はフォワードばかりだから、これはサッカー界全体の好みというべきか。こんな補強をすれば、セルヒオ・ラモスやパブロ・ガルシア、グラベセン、シシーニョの加入でようやく守備側に傾きかけたバランスが、また狂ってしまう。自ら監督経験があるベニート・フロロ補強担当が、そんな馬鹿なミスを犯すはずがない。

 今年の6月、補強シーズン直前「オフィシャル・サイトの“お遊び”を笑おう」というタイトルで、メディアの移籍情報を集めて掲載し、ガセネタや飛ばし記事、憶測によるスクープを笑う、レアル・マドリーのオフィシャルサイトの企画を取り上げたことがある。

 あの時、メディアが「獲得に乗り出す!」とか「移籍か?」などと噂した選手は25人に上ったが、実際に加入したのは5人。単純に数だけ比較しても的中率20%。マスコミ辞令は、話半分どころか“話五分の一”で聞いておいた方がいいのかもしれない。となると、上記のきらびやかな加入リストの中から実際に白いシャツを着るのは良くて2人、まあ1人が妥当ということか。

 カペッロ監督については、マルカ紙に先週掲載されたホルへ・バルダーノ(元レアル・マドリースポーツディレクター)の意見が面白かった。「もし勝ちたいだけならカペッロがいい」というもの。これはカペッロを推薦しているのではなく、面白さよりも結果優先のサッカーを非難しているのだ。以前、このコラムでも書いたことがあるが、カペッロは96−97シーズン、レアル・マドリーでリーグ優勝を果たしながら、「試合が面白くない」とファンからソッポを向かれ、1シーズンで退団した過去があるのだ。

 もっともバルダーノの見解も憶測の中での仮定でしかない。国王杯、リーグを含めて4連勝中のロペス・カロには、まったく失礼な話だが、マスコミ辞令もレアル・マドリー監督の宿命だろう。オフィシャルサイトには、“お遊び”の復活を期待したい。

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