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うわべだけの星勘定に溺れるな!
W杯は「散り方」の品評会でもある。 

text by

杉山茂樹

杉山茂樹Shigeki Sugiyama

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photograph byGetty Images

posted2009/12/15 10:30

うわべだけの星勘定に溺れるな!W杯は「散り方」の品評会でもある。<Number Web> photograph by Getty Images

W杯南ア大会、日本はグループEに入り、オランダ、カメルーン、デンマークと同組となった

何十億人のファンの記憶に残る、感動的な負け方とは?

 できれば、感動的な散り方をしたい。何十億人というファンに、そうした意味で好印象を植え付けたい。優勝候補のチームには、それは許されない話になるかもしれない。「負けても良くやった」と言われることは、屈辱かもしれない。だが、日本はほぼすべてのブックメーカーから、E組で最下位と目されている、いわば泡沫候補だ。「負けても良くやった」は、正真正銘の褒め言葉になる。

 そのためには、星勘定などせず、チャレンジャー精神に則り、良いサッカーを追求して好チームになること。そうすれば必然、幸が待ち受ける。番狂わせを次々と起こし、ダークホースとして浮上するチームは、例外なく良いサッカーをする好チームだ。その追求を怠り、結果ばかり欲しがれば、明るくない将来が待ち受けている。

是非とも“良いサッカー”をして世界にアピールしてほしい。

「いや、良いサッカーをしても、勝たなければ仕方がない」と反論する人は多いだろう。しかしそれは、良いサッカーをしてから言うものだ。良いサッカーをする前から言うべきではない。

 W杯は、勝ち負けのみならず、良いサッカーか否かにも目を凝らすことになる。品評会的な色彩が強いのだ。そこで不可欠なのは、出し物を披露する感覚。これでもかというぐらい良いサッカーをすれば、結果もそれなりのものがついてくると僕は思うのである。

 ちなみに、僕がいま考える好チーム候補は、アメリカ、チリ、デンマーク。日本の目標は彼らだと思う。デンマーク戦はそうした意味で楽しみな一戦だ。良いサッカーをしたほうが勝つ、僕はそう思う。

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