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岡田ジャパンがガーナ戦で試した
“世界バージョン”の攻撃型戦術。 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2009/09/10 12:50

岡田ジャパンがガーナ戦で試した“世界バージョン”の攻撃型戦術。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

 こんな結末は、誰も予想できなかったに違いない。

 後半33分、途中出場の玉田圭司が左足で決めた目の覚めるようなシュートを合図に、わずか5分間で3ゴールを奪ってしまうのだから。

 追い込まれながらも1-3のスコアをひっくり返した力強さが岡田ジャパンにあったことは喜ばしい限りだ。確かに、この試合の3日前にW杯本大会出場を決めてきたばかりのガーナにモチベーションの高さは感じられず、後半に入ってメンバーを大幅に入れ替えたこと、守備のチェックが甘かったことなどがこの大逆転劇の背景にはある。だが、背景はどうあれ、この日の岡田ジャパンはシュートを打つことに第一義を置いていたように見えた。

 パス回しに固執することなく、展開によってはシンプルにロングボールを送るなどベクトルがゴールに向いていた。玉田や稲本潤一のゴールは強引に打ったことが功を奏しているし、全員にそのような共通意識があったように感じた。

FWの得点意識を明確にした4-2-2-2システム。

 大量得点を呼んだ要因のひとつとして、このガーナ戦に向けたフォーメーションの変化を挙げたい。

 この日、岡田武史監督は4-2-2-2を採用した。オーソドックスな2トップにすることで、FWには前線に残る意識が生まれた。これまでの4-2-3-1システムでは、1トップまで中盤に組み込んでしまう“0トップ”になるケースもあり、いざ攻撃、という場面で誰も前線に残っていないことが少なくなかった。だが、この日は2トップの1枚が必ず前線に残ることによって、パスを引き出すことができた。前田遼一がキープしながら、岡崎慎司が裏を狙う。2人の動きを利用して、中村憲剛が抜け出すシーンもたびたび見られた。また、攻撃の「形」がある程度はっきりしていたため、中盤からすればパスを出しやすかったのではないだろうか。そのうえ、役割を明確化させるということは、責任も明確化する。大袈裟に言うなら、システム変更によって選手の意識にも変化があった。そう思えてならない。

2試合6失点の守備の課題より、得点できたことが大事。

 先のオランダ戦も合わせて2試合で6失点という守備は問題だろう。だが今回の遠征のテーマは、あくまで世界の強豪相手にどう点を獲るか、にあったように思う。オランダ戦では日本の守備組織が崩されていなくても、個の力によって得点を奪われた。それは今回のガーナ戦も然り。世界の強豪相手に無失点で乗り切ることは、きわめて難しいミッションであることが証明された。そう考えると、ひたすら無失点で乗り切る方策を講じるより、最低でも1点ぐらい獲られることはやむなし、と割り切ってこちらが2点以上の得点を奪う戦い方を構築すべきではないか、という思いに駆られる。

<次ページに続く>

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