ジーコ・ジャパン ドイツへの道BACK NUMBER

第4回:マレーシア戦で目標は達成できたか? 

text by

木ノ原久美

木ノ原久美Kumi Kinohara

PROFILE

photograph byWataru Abe/PHOTO KISHIMOTO

posted2004/02/09 00:00

第4回:マレーシア戦で目標は達成できたか?<Number Web> photograph by Wataru Abe/PHOTO KISHIMOTO

 大事な試合を前に、どんな相手とどのタイミングで試合をするかは、チームづくりの準備で重要なポイントである。日本が7日に鹿島で対戦したマレーシアは、18日のワールドカップ一次予選初戦オマーン戦の準備として、守備を固めてくる相手から点を獲るという状況を想定してアレンジされたものだった。

 2004年初めての試合で、ジーコ監督体制では初の4-0という大量得点を見れば、この目標は達成されたようにも思えるが、そうとも言い切れない。マレーシアとの力の差を考えると、もう少しチャンスが作れていてもよかっただろうし、チームとして機能しきれていない部分もあった。

 これには、選手の仕上がり具合にかなりばらつきがあったことや、実戦から遠ざかっていたことで試合の感覚が戻っていないことが影響していたと思う。このために攻守で目測を誤る場面や噛み合わないプレーが見られ、前半の半ばまではなかなかエンジンがかからない状態だった。

 特に、この日先発したFW久保は動きが重く、コンディション調整に時間がかかっている様子で、「一番点を獲って欲しいFWが獲っていない。獲ろうという気迫がなかった」と川淵日本サッカー協会キャプテンに指摘されたほどだ。

 ジーコ監督は「久保を活かすため」に2トップの相手として本山を起用したが、中核となるべき肝心の久保が不調で、“誰に点を獲らせるのか”というチームのコンセプトが薄れてしまい、結果としてこれが攻めに精彩を欠く要因になったのではないか。

 だがその状況でも、チームはサイド攻撃を意識してプレーし、得点にしている。このことは評価できるだろう。チーム3点目となった前半44分のDF山田暢久の得点と後半早々のMF遠藤の得点は、サイドから逆サイドに大きく振る展開からのものだった。また、得点にはならなかったが、MF山田卓也がボランチの位置から積極的に攻め上がるプレーも効果的だった。いずれも相手の守りを崩すには有効な手段だ。

 ただ、マレーシアが予想したほど引いて守りを固めてこなかったので、相手のガードをこじ開けて点を獲るという形の練習にそれほどならなかったのは誤算か。ラジャゴバル暫定監督のもとで1月中旬から始動した新チームは、「選手が日本をリスペクトし過ぎた」(同監督)ためか、あまり機能していなかった。

 日本は後半早々までに4-0とリードを広げたが、その後、ボールは動くが選手の足が止まってしまう状態になり、プレーが単調になって攻め手が減った。MF藤田は「もっと自分たちが相手を動かすプレーをするべきだった」と振り返る。

 さらに、ジーコ監督が後半18分にDFラインの4人総てを取替え、同29分にはGK(土肥から都築)、FW(久保から黒部)、MF(山田卓から奥、藤田から石川)の4人を替えた。この交替後のチームでは、連携を欠いて組み立てができず、パフォーマンスは見劣りした。それどころか、後半41分にはDF中澤のパスを相手にカットされ、素早くつながれてペナルティボックスの中でシュートを打たれるという危険な場面もあった。

 一連の選手交替についてジーコ監督は、この試合での交替は前後半で2回ずつと決められていたことと、多くの選手に試合感覚を取り戻させたいという考えからだったと説明した。だが、「交替の約60分までは、今のコンディションの中でいいものを出してくれた」と、交替の前後でチームの出来に差があったことは暗に認めている。

 1月26日の始動以来、紅白戦ぐらいしかやっていなかったことや、あくまでも18日のオマーン戦への準備であるということを考えれば、この試合で悲観するようなことは何もない。選手の調整具合にばらつきがあることを知り、試合感覚を呼び起こしたことが収穫だろう。あとは、この日の試合を基にさらに調整を進めていけばいい。

 小笠原も、「思ったところに止める、蹴る、が全然できていいなかった。やっていけばチームとしてよくなると思う。こういう試合で元に戻すのが大事」と話している。

 次の親善試合のイラク戦は12日(国立)。この試合には、マレーシア戦では出場停止だったFW大久保も戻り、10日からはFW柳沢が帰国してチームに合流する予定になっている。久保の調整を含めて、チームはさらによい状態になっていると思う。

 イラクは最近の戦禍のために従来のような活動はできていないというが、その中でアジアカップの予選を突破したという実績を持つ。同じ中東のオマーンとの対戦を想定して、いい相手になるだろう。

ページトップ