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布陣が選手を育てる。
――バルサにおける“卵か鶏か?”論 

text by

杉山茂樹

杉山茂樹Shigeki Sugiyama

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2009/04/20 07:02

布陣が選手を育てる。――バルサにおける“卵か鶏か?”論<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

 メッシ、エトー、アンリ。バルセロナの3トップは、両サイドに大きく開いているのが特徴だ。攻撃サッカーを実践する最大の武器として、サイド攻撃を選択している。

 伝統的に、だ。バルサはほぼ一貫して、ウイングを置いた3トップの布陣を敷く。もっとも、同じ3FWでも、グアルディオラ監督とライカールト前監督時代との間には、テイストに微妙な違いがある。

 ライカールト監督時代の3FWは、いまより流動的だった。左のロナウジーニョは、気がつけば真ん中に入り込んでいた。右のメッシもしかり。その結果、エトーがバランスに気を遣い、サイドに開く場面が、試合の半分近くを占めた。ロナウジーニョとメッシが真ん中付近でプレーし、本来CFのエトーが右サイドに開く時間帯のほうが長かった気さえする。

ライカールトとグアルディオラの異なるFW論。

 3FWがポジションチェンジをあまりしない現在とは大きく異なる。アンリは左サイドに張り付いているし、同様にメッシも右ウイング然と構えている。それでいて確実にゴールに絡んでいる。平素はウイングの顔をしながら、最後の局面では、ストライカー役もきっちりこなしている。

 どちらが効率的かと言えば、現在になる。見た目の美しさでも、現在のほうが勝っている。3FWの理想型を見るような気がする。

 ウイング兼ストライカー。アンリとメッシには、そうした言い方があてはまる。サイドに出てもウイング的な芸ができるエトーもしかりだ。バルサの3FWは、両方の役をこなす多彩さがある。

 フェルナンド・トーレスもその一人に加えていいだろう。サイドでボールを受けても芸がある。ウイング的なプレーができる。クリスティアーノ・ロナウドにも、両面がある。本職はウイングだが、真ん中でストライカー的な仕事もこなすことができる。シェフチェンコも、サイドバックに突っかかっていくアクションは絵になっていたし、新しいところでは、フッキにもそうした魅力がある。

 ひるがえって日本には、「ドリブルで縦に抜いていく突破力を備えたストライカー」は誰一人いない。ドリブルでDFと1対1を挑む姿が様になるストライカーと言えば、釜本邦茂さんしか思い出せない。ちなみに、釜本さんは高校の途中まで、右ウイングを務めていたのだそうだ。ストライカーになっても、スタンレー・マシューズの「マシューズ・フェイント」を、マスターしようとしていたらしい。

<次ページに続く>

► 【次ページ】  日本にストライカーが育たない原因のひとつ。

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