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【ドリーム・チーム史上最大の挑戦】 長嶋ジャパン、情報戦に敗れての初黒星。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byTsuyoshi Kishimoto/PHOTO KISHIMOTO

posted2004/08/20 00:00

【ドリーム・チーム史上最大の挑戦】 長嶋ジャパン、情報戦に敗れての初黒星。<Number Web> photograph by Tsuyoshi Kishimoto/PHOTO KISHIMOTO

 まさかの完敗だった。アテネ五輪野球の日本代表は18日、エリニコ・オリンピック・コンプレックス内のベースボール・フィールド1で豪州と対戦、4対9という大差で今大会初黒星を喫した。

 聞くと見るとでは大違いだった。事前に張り巡らせた情報戦。これまではその分析が功を奏してキューバ撃破を含む3連勝につながってきた。だが……。この豪州戦はちょっと様子がちがっていた。

 試合前のメンバー交換で日本ベンチには動揺が広がった。豪州の先発投手ストックマンは阪神のウイリアムスとともにストッパーと言う事前情報だったのだ。1勝2敗と予選突破に後がない豪州にしたら「もう抑えも先発もない。いい投手を順番につぎ込んでいく」という考えだったのだろう。しかし、まったく予想もしていなかったストッパーの先発に、日本ベンチが慌てたのは仕方がなかった。

 しかも打線も予想以上に迫力があった。3回まで真っ直ぐとフォークのコンビネーションで無安打4三振と完璧に押さえ込んでいた先発・清水が無残につかまったのは4回だった。1死からシーズン中でも見られないような5連打を浴びて3失点でKOされた。

 実はここにも情報戦の微妙なズレがあった。日本サイドが収集していた豪州打線の情報では、「真っ直ぐに弱く130km後半のストレートにもつまる」というものだった。しかしいざふたを開けてみると、真っ直ぐを狙い打ったように鋭い打球を右に左に弾き返された。ストレート主体に配球を組み立ててきたバッテリーは、「まさか……」と首をかしげている間に食らった5連打でもあったわけだ。

 5回に1度は福留の3ランで4対3と逆転したものの、7回には3番手の三浦がつかまり4連打を浴びて同点に。さらに替わった石井が無死満塁から中前に2点タイムリーを浴びて2点を失う。この回またも5連打されて、試合はあっさりとひっくり返された。

 8回にもかつて中日でディンゴの登録名で活躍したニルソンの豪快な本塁打などで3点を追加した豪州に対して、日本は6回以降、ロイド―ウイリアムスのサウスポー継投の前にチャンスを作るものの決定打を奪えずにゼロ行進。最後は福留、宮本、高橋がウイリアムスに三者連続三振に討ち取られて、今大会初めての黒星が決まった。

 「完敗です。いきなり点取りゲームになってしまって、それを食い止められなかったのが敗因。オーストラリアが強かった」試合後の中畑ヘッドは、さばさばとした表情でこう語り「大事なのはきちっと切り替えることだな」と宿舎へと入っていた。初黒星のショックは確かにある。それでも19日が休養日なのはラッキーといえる。

選手は練習も行なわずに気持ちと体のリフレッシュに務める一方で、スコアラーを始め首脳陣は再度のデータ分析で残る予選リーグ3試合への準備を完璧にする。一発勝負。何が起こってもおかしくない戦いだけに、いくら準備をしてもし足りないことはないはずだ。

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