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ボールにマイクロチップが入る!? 

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酒巻陽子

酒巻陽子Yoko Sakamaki

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posted2005/03/23 00:00

ボールにマイクロチップが入る!?<Number Web> photograph by AFLO

 副審の誤審で無効となった3月13日のユベントス戦でのキエボの先制ゴール。試合は1-0でユベントスの勝利となり、「審判のユベントス贔屓」が、またもや世間の反感を買うことになった。

 亡霊ゴール――MFペリシエール(キエボ)の蹴ったボールはピンポンのようにゴールを上下し、明らかにラインを割っていた。ラインを超えたボールを咄嗟に取りにいったGKブッフォンが、副審のジャッジに唖然とする様子は「ゴールであった」ことを物語っている。

「審判に不信を抱くなら、ボールにマイクロチップをつけるべき」 

 その日、まんまと勝利を得たカペッロ監督は、マイクロチップ入りのボール(以下Mボール)をセリエAに取り入れるよう主張した。

「Mボール」。簡単に説明すると、来る2006年のワールドカップ・ドイツ大会で導入されると言われているマイクロチップが内蔵されたボールのことだ。ゴールラインとポール、上部バーに設置されたセンサーにボールが反応して、「イン」または「アウト」を主審が付着するレシーバーに伝達する仕組みだ。

 イタリアプロサッカー連盟のガリアーニ会長は「審判員を援助するためにも、最新技術の導入を伊サッカー協会に要請した」と、リーグにおける「審判の助っ人」の導入に意気揚々だ。アマチュアレベルで「Mボール」を試作する動きもある。「Mボール」の公式戦デビューもそう遠くはない。

 こうしたテクノロジーの導入により、人間の目では追えない瞬時の出来事が明確になり、審判が戦犯扱いされずに済むようになるだろう。しかし、正当なジャッジを下すことはレフェリーの責務であることに注意したい。優秀なレフェリーを育成することはいわば「基本」だ。

 また、審判員を助けることができるのは「Mボール」に限らない。仮に現場にいる選手たちが「フェアな精神」を持っていたらどうだろう。

 数年前、当時ラツィオに所属していたMFネドベドが、コリーナ主審に「ファウルはなかった」と、受けたファウルを自ら撤回したことがあった。「ありもしないファウルが原因で、聖なる試合を荒立てなくなかった」と、ネドベドはコメントを残した。 実情を知っていたブッフォンが、仮にネドベドのようにキエボのゴールを認めていたら、フェアな試合が続行でき、ブッフォンにはプレー、人格とにも最優秀GKの称号が与えられたに違いない。

 はっきり言って最近のイタリアサッカーには信義も節操もない。ガリアーニ氏にしても「テクノロジーの導入」を口走るばかりだ。

 セリエAはサッカーの最高峰と言われ、また、世界一のレフェリーを生んだ場所でもある。人と人が競うスポーツとして「人間のレベル」のサッカーを演じ続けてもらいたい。

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