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マイナー選手の1日。 

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荒川祐輔

荒川祐輔Yusuke Arakawa

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photograph byYusuke Arakawa

posted2004/05/08 00:00

マイナー選手の1日。<Number Web> photograph by Yusuke Arakawa

 皆さん初めまして。MLBコロラド・ロッキーズに所属している荒川祐輔です。

 小学校4年生から野球を初め、中学・高校・大学(高岡法科大学)・社会人(トヨタ自動車)を経て、去年からアメリカでメジャーリーグを目指して挑戦しています。実は、2002年にトヨタ自動車をクビになり、そのあとにアメリカ独立リーグの、エルマイラ・パイオニアーズのトライアウト(入団テスト)を受けたことが、メジャーに挑戦するようになったきっかけでした。1978年生まれの26歳、右投げ右打ちです。

 マイナー選手の生活について少しでも皆さんに知ってもらえるように、これから僕の生活の一部をお伝えしていきたいと思います。初回となる今回は「マイナー選手の1日」というテーマで、スプリングキャンプの1日を紹介します。

 朝は6時起床。朝食を食べたあと、数回に分かれてチームのバンで球場に向かいます。このバンはどの回にどれくらいの人が乗るか分からないので毎回定員オーバーの満員状態です。車を持ってきている選手に乗せてもらうこともあります。

 球場では練習が始まるまで、あるいはミーティングがあればミーティングまではそれぞれ好きなことをしています。僕は基本的に音楽を聴いて過ごします。練習は9時頃から始まり午前中いっぱい、ランチタイムをとって午後1時から試合となります。試合は出る・出ないに関係なく全員で観戦します。試合を見ているだけで楽だと思うかもしれませんが、試合中はファールボール拾いやバット引きなどそれぞれ仕事があります。マイナーリーグにはバット引きもボールボーイもいません。すべては自分たちでやらないといけないのです。試合後はウエイトトレーニングや個人練習を行って終了となります。

 ホテルに戻り、6時頃に夕飯を食べて10時には寝ています。おおよそこのような感じで毎日を過ごしています。

 次に日本とアメリカのキャンプの違いを紹介したいと思います。まあ、僕は日本のプロを経験していないので日本の詳しいことはわかりませんが……。

 日本のキャンプでは何日か練習したら1日休みをとりますが、アメリカは基本的にスプリングトレーニングの期間中、休みはありません。毎日が練習と試合です。投手と野手のキャンプ入りの日にちも違っていて、投手のほうが数日早く始まります。

 マイナーのキャンプはルーキーから所属する選手全員、合わせて150人ほどで朝9時から夕方16時ぐらいまで行なわれ、練習中は決められたメニューに従ってほとんど休むことなく練習します。アメリカのキャンプは日本に比べて楽だと思っている人がいますが、実はそんなことはないんですよ。とにかくマイナーの選手は自由がなく、朝練、ランニング、ウエイトといった練習内容が決められています。

 また、日本のキャンプと大きく違うところは、キャンプ初日には自分の体を100%の状態にしておかなくてはならないという点です。日本の場合はキャンプ中に体を作ってシーズンに望みますが、こちらはキャンプこそが自分をアピールする場所なので、投手は初日からブルペンに入りバンバン投げこみます。1週間ほどバントシフトや牽制・投球練習といったチームの練習をしたあとはすぐにオープン戦が入ってくるので、日本のようにのんびりキャンプで肩を作っていてはとても試合で投げることができません。もし投げたとしても100%の力がでないですしね。いかにオフシーズンの過ごし方が重要になるかが分かると思います。

 アメリカの場合キャンプ中にリリース(解雇)されることも珍しくないんです。昨日まで一緒だったチームメイトが突然解雇されるなど、毎日選手が入れ替わります。本当に毎日が勝負ですし、機会をもらったときに結果を残さなかったら次にチャンスがあるか分からないというシビアな世界です。まさに「今日の友は明日の敵・昨日の敵は今日の友」という言葉がぴったり当てはまるのがアメリカの野球です。

 こうした世界の一部だけでも皆さんに紹介できればうれしく思います。これからよろしくお願いします。

 また、このコラムについての質問や、さらに知りたいことなどがありましたら教えてください。

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