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春の覇者・沖縄尚学の九州大会初戦敗退は吉か凶か 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2008/04/25 00:00

春の覇者・沖縄尚学の九州大会初戦敗退は吉か凶か<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

 春のセンバツ大会優勝校・沖縄尚学が九州大会初戦(2回戦)で敗退した。相手が本格派右腕・三嶋一輝擁する強豪・福岡工で、沖縄尚学はエース・東浜巨を出さず、2番手以降の上原亘、上江洲圭を登板させて3対4の点差なのだから尾を引かない負けかもしれない。しかし一抹の不安を覚えるのは、センバツ優勝後、九州大会がぶっつけの本番だったこと。03〜07年のセンバツ優勝校はどうだったのか振り返ってみよう。

◇03年・広陵(広島)……センバツ後に行われた広島大会で準決勝進出も中国大会には出場できず。→夏の甲子園大会は2回戦進出。

◇04年・済美(愛媛)……センバツ後の愛媛大会は県代表決定戦、順位決定戦のみ戦い、これに勝って四国大会に出場。ここで2勝して決勝に進出する。→夏の甲子園大会は準優勝。

◇05年・愛工大名電(愛知)……センバツ後に行われた愛知大会で優勝。東海大会は1勝して準決勝進出。→夏の甲子園大会は1回戦敗退。

◇06年・横浜(神奈川)……センバツ後に行われた神奈川大会に準優勝。関東大会は2勝して準決勝進出。→夏の甲子園大会は1回戦敗退。

◇07年・常葉菊川高(静岡)……センバツ後に行われた静岡大会は1回戦敗退、東海大会には出場できず。→夏の甲子園大会は準決勝進出。

 昨年の常葉菊川を除けば、センバツ後の実戦経験の豊富さが明らかに沖縄尚学とは違う。常葉菊川もセンバツ優勝から夏の大会まで1戦しか公式戦を経験していないが、これは特待生問題で主力が出場できなかったためで、例外として考えたほうがいい。それでも県大会には出場しているので、県大会を飛び越えていきなり九州大会に出場した沖縄尚学のような制度上の恩恵は受けていない。

 もちろん沖縄尚学に何の罪もない。センバツが開催されたのは3月22日から4月4日までで、沖縄大会もほぼ同時期の3月22日から4月5日まで行われている。九州大会が4月19日開催と早いため、九州地区はどうしても早めの開催を強いられてしまうのだ。

 救いは、同じ九州勢の過去の戦いぶり。96年のセンバツ優勝校・鹿児島実も鹿児島大会を戦わず九州大会で1回戦敗退を喫しているが、夏の甲子園大会は準決勝に進出している。さらに現監督の比嘉公也氏がエースだった99年の沖縄尚学は九州大会初戦(2回戦)敗退ながら夏の甲子園大会に出場し、2回戦に進出している。春の優勝校が2回戦や準決勝進出で喜んでいいのかという議論があるかもしれないが、夏の甲子園大会に出場した時点でチーム作りは成功したと見ていい。そう考えると沖縄尚学の九州大会未勝利は大げさに考えなくていいのかもしれない。

 いずれにしても、これから沖縄尚学が春・夏連覇に挑むためには実戦経験を積む以外にない。沖縄は島なので、本土のチームと練習試合をするには飛行機代などの遠征代がバカにならない。故栽弘義(前沖縄水産高)監督は『チバリョ!沖縄球児』(日本スポーツ出版社)という本の中で「沖縄にはいいアンダーハンドがいないから、たとえば九州のチームと対戦しようということになると、100万単位の金を使わないと体験できない。そういうのが苦労ですね」と語っている。そういう意味でも沖縄大会や九州大会は重要で、沖縄尚学にはエース東浜の登板に躊躇してほしくなかったし、九州の高野連には九州大会の5月開催を考慮してほしいと思った。夏の沖縄大会は全国一早い6月下旬から。もうすぐである。

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