トゥルーリの風邪、トヨタのF1継続に関する噂などサーキット外での話題が多いトヨタだが……

F1日本GPプレビュー。
前戦2位のトヨタが初優勝なるか?

西山平夫 = 文 ⇒この著者の記事一覧

text by Hirao Nishiyama

photograph by Hiroshi Kaneko

F1日本GPプレビュー。前戦2位のトヨタが初優勝なるか?

 3年ぶりに鈴鹿に戻って来た日本グランプリを制するのは、どのチームの誰だろうか?

「優勝を狙って行きます」という山科忠トヨタF1チーム代表の威勢のいい発言を池袋アムラックス・トヨタの日本GP直前記者会見で聞いたばかりだから、本命はトヨタとしたい。なにしろ空力効率を高めるためにリヤ・サスペンションのピックアウト・ポイント(シャシーとサスペンションの接続位置)まで変えてしまったという“鈴鹿スペシャル”を、シンガポールに先行投入したくらいだから。しかも、それが大当たりでT・グロックがいきなりの2位入賞を果たしている。これなら勝てる!

 しかし、肝心のエースであるJ・トゥルーリがレース後に39度の熱発。来日が一日遅れたのが少々気がかりではある。気分屋のこのエース、セカンド・ドライバーたるグロックがシンガポールの2位で自分の今季ポイントを上回ったのが気になるはずだし、さらに言えば両ドライバーとも来年の契約は白紙状態なのだ。ここでトゥルーリが“コノヤロ~”パワーを発揮して予選最前列を確保し、グロックが5位以内をキープできれば初優勝の可能性も高いが、先輩がイジメ・モードに入った日には……優勝どころか表彰台も難しくなるだろう。

本命トヨタ、対抗ハミルトン。バリチェロが意地を見せる?

 チーム内での立場が微妙な関係にあるという点で、ランキング1~2位独走中のブラウンGPも鈴鹿優勝は難しいのではないかと思われる。ブラウン御大の思惑が、一刻も早いバトン初戴冠にあるのはシンガポールから日本へ向かう飛行機で彼がバトンと同行したことでもうかがえるが、ならば来年契約がないとされるバリチェロの居直りが鈴鹿で見られるかどうか? メカ系トラブルがバリチェロ車にだけ出るというのも不可解だが、それにもめげずしっかりバトンの前でチェッカーを受けるバリチェロの姿が健気にも映る。最後になるだろうキャリアのそのシーズンにつかんだ初戴冠の夢。バリチェロ先生の奮起があれば、鈴鹿でのバトンの優勝はなしになるかもしれない。下手をすると共倒れの可能性も……。戴冠が先延ばしにされるなら、F1ファンにとってはそれもまたよし。ブラウンGPの家庭内離婚の行く末が見ものだ。

 シンガポールで完勝したハミルトン擁するマクラーレンはどうか。ブラウンGPと違って、ハミルトンとコバライネンの役割分担がハッキリしているのが有利ではある。コバライネンには速さも野心もなく、しかしシンガポールまで6連続入賞でコツコツ得点を重ねる堅実さがあり、そのお陰もあってかシンガポールではコンストラクターズ・ポイントで3位フェラーリに3点差と迫っている。鈴鹿では一気にAクラス入りを狙って来るだろうから“本命”をトヨタとするならば“対抗”はハミルトンとしたい。

深紅の跳ね馬フェラーリは……すでに終わっている。

 名門のマクラーレンの話が出たら当然フェラーリも、ということになるが跳ね馬は望み薄。シンガポールGPですでにライコネンは「チームは来季に集中するためF60の開発を止めちゃったから、ここ(鈴鹿)はダメだね」と東北弁(フィンランドなまり!?)の英語で大胆発言の後、ニヤリとした。今思えばこの“ニヤリ”は彼が来季もうフェラーリにいないことをハッキリと意味していたし、開発停止はフェラーリがライコネンに突きつけた明確な三行半だった。よって来季には外に出てしまうチーム(ましてやライバルチームのマクラーレンに移籍する可能性が高いわけだし)に今更忠義だてする必要はまったくないので、とうに年間チャンピオンを諦めたライコネンの優勝はありえない。ましてやフィジケラにおいてをや。

<次ページに続く>

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筆者プロフィール

西山平夫

1952年生まれ、新潟県出身。レース雑誌「AUTO SPORT」編集部を経て1984年にフリーランスに。現在F1全戦取材を主軸に「Racing On」「F1速報」「NAVI」等に寄稿。ひいきのドライバーはF・アロンソ。


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