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ブンデスリーガ、得点王の呪い。
~グラフィッチ不振の真相?~ 

text by

ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byGetty Images

posted2009/10/30 10:30

ブンデスリーガ、得点王の呪い。~グラフィッチ不振の真相?~<Number Web> photograph by Getty Images

CLベシクタシュ戦で一発退場。グラフィッチは本当に呪われている?

 ブンデスリーガには「得点王の呪い」が存在する。リーグ得点王に輝いた選手が、「呪い」にかかったように翌シーズンにゴール数を大きく減らしてしまうという怪奇現象が、およそ10年にわたり続いているのだ。

「呪い」にかかると得点は半減する!?

 '98-'99シーズンからの10シーズンで得点王になった選手がどれくらいゴール数を減らしているのかを示すのが下の表である。

シーズン 得点王(当時の所属) 得点王となったシーズンの
ゴール数
翌シーズンの
ゴール数
'08-'09 グラフィッチ(ヴォルフスブルク) 28 ??
'07-'08 トニ(バイエルン) 24 14
'06-'07 ゲカス(ボーフム) 20 11
'05-'06 クローゼ(ブレーメン) 25 13
'04-'05 ミンタル(ニュルンベルク) 24 1
'03-'04 アイウトン(ブレーメン) 28 14
'02-'03 クリスチャンセン(ボーフム) 21 9
'02-'03 エウベル(バイエルン) 21 --
'01-'02 アモローゾ(ドルトムント) 18 6
'01-'02 マックス(1860ミュンヘン) 18 6
'00-'01 バルバレス(ハンブルガーSV) 22 7
'00-'01 サンド(シャルケ) 22 11
'99-'00 マックス(1860ミュンヘン) 19 8
'98-'99 プリーツ(ヘルタ・ベルリン) 23 12
(ただし、マレク・ミンタルとエウベルのケースは除く。'04-'05シーズンの得点王のミンタルは、翌シーズンのほとんどを怪我で欠場しているため。'02-'03シーズンでトーマス・クリスチャンセンと並んで得点王になったエウベルは、翌シーズン途中にフランスのオリンピック・リヨンへと移籍したため)

 この10年、歴代の得点王たちが翌シーズンに決めたゴール数は、平均すると前シーズンの45.5%。なんと半分である。「呪い」と言われるゆえんである。

昨季の得点王は開幕9戦で未だ2ゴールのみ。

 昨季の得点王は、グラフィッチだ。得点王のみならず、ブンデスリーガの年間最優秀選手にも選ばれるほどの活躍で、ヴォルフスブルクを初優勝に導いた。25試合で28ゴールは驚異的な成績だった。

 だが、今季はどうだろう。彼が今季のリーグ9試合で決めたのは、PKを含む2ゴールだけ。8月7日の開幕戦以来、フィールドゴールを決めていない。「呪い」の魔の手がグラフィッチを掴んでいる。そう断言したくなるような成績である。

【次ページ】 監督との確執がグラフィッチ不振の原因か。

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アルミン・フェー
グラフィッチ
ヴォルフスブルク

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