MLB Column from USABACK NUMBER

レッドソックス 松坂大輔「狂騒」曲の始まり 

text by

李啓充

李啓充Kaechoong Lee

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photograph byGettyimages/AFLO

posted2006/11/17 00:00

レッドソックス 松坂大輔「狂騒」曲の始まり<Number Web> photograph by Gettyimages/AFLO

 レッドソックスの松坂大輔交渉権獲得で、ボストンの街が沸いている。正式発表は現地時間の11月14日午後8時だったが、直後、ボストンの各テレビ局は、以下のように松坂の交渉権獲得を伝えた。

FOX系列局:スポーツ部門のトップ・ニュース。ニュース・アナウンサーが「もう僕はインターネットで松坂のジャージーを買いました」と興奮気味。

ABC系列局:昔、ハーバード大学の名クォーターバック兼野球選手だったベテラン・スポーツキャスターが、5110万ドルという巨額の入札額について「crazy!」を連発。「金額に見合うほどいい投手なんでしょうね」と懐疑的。

CBS系列局:ボストンでは長老格のスポーツキャスターが、多年契約の年俸も含めると総額1億ドルほどの投資になる可能性を指摘、「人間、せっぱ詰まると何でもするものです」と、レッドソックスの大盤振る舞いを呆れ気味に紹介。

NBC系列局:他のニュースをさしおいて番組全体のトップ・ニュースとした上に、「寿司以来、日本からの最高の輸入品となるか?」と大げさ。松坂が日本でどれだけビッグなスターであるかという点を説明するために「松坂世代」という言葉があることまで紹介。

 と、以上が地元ボストンでの直後の反応であるが、入札金額の巨額さに驚いたり呆れたりする一方で、松坂がどれだけの活躍をするかについては「期待と不安がないまぜになっている」と言っていいだろう。交渉権獲得で松坂のヤンキース入りを阻止したことについては、「文句なしの成果」ということでファンの意見は一致しているが、多額の出費に見合うだけの活躍をするかどうかについて「不安」を感じる向きが多いのは、90年代終わりに、ヤンキースが伊良部英輝獲得で大失敗した故事を覚えているからである。

 ところで、5110万ドルという入札額について、地元ボストン・グローブ紙の世論調査によると、「賢い投資」の78%に対し「アホな投資」が22%と、好意的に評価するファンが圧倒的に多い。しかし、ESPN・TVの全米レベルでの調査によると、「高すぎる」の75%に対し、「高すぎない」が25%と、その評価は完全に逆転する。交渉権を獲得したチームのファンと、交渉権とは初めから縁がなかったり競り負けたりしたチームのファンとは、入札額に対する評価が正反対になっているようである。

 今後、業界一の凄腕エージェント、スコット・ボラスとの交渉がもつれる可能性もないわけではないが、入団交渉は最終的にはまとまると見られている。巨額入札という「大音響」で序章が始まった松坂「狂騒」曲、はたして、ボストンのファンを期待通りに熱狂させる展開・終章へと続くのだろうか?

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