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越境エースFWが戸惑う
女子代表の“組織力”。
~サッカー女子W杯開幕を前に~ 

text by

浅田真樹

浅田真樹Masaki Asada

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posted2011/06/18 08:00

越境エースFWが戸惑う女子代表の“組織力”。~サッカー女子W杯開幕を前に~<Number Web> photograph by AFLO

欧州女子CLの8試合で9ゴールの大活躍。リーグでも得点を量産し、三連覇に貢献した

 UEFA女子チャンピオンズリーグ決勝で、日本女子代表FWの永里優季が所属するポツダムが、リヨンに敗れた。2連覇を逃すという結果もそうだが、何より残念だったのは、シーズン締めくくりの大舞台に永里自身が立てなかったことである。

 左ヒザの負傷があったとはいえ、ピッチに立てるまでには回復しているはずだった。にもかかわらず、欠場に至った不運な理由を、試合後、永里が明かした。

「痛み止めの注射を打ったら、予想以上に効いてしまい、(左足の)ヒザから下の感覚がなくなってしまったんです」

 しかし、こちらが拍子抜けするほど、永里に落ち込む様子は見られなかった。

「この試合に出られなかったからといって、今まで積み上げてきたものがなくなってしまうわけじゃないから」

ドイツでの女子W杯で永里の経験は生かされるのか?

 準決勝までに、「こう持ち込めば点が取れるという感覚ができあがっていた」。だからこそ、「それを決勝で試すのが楽しみだった」と永里。少なからず心残りがあるのは事実だが、だからといって、確かな手応えが失われるわけではない。

 今月には、“地元”ドイツで女子ワールドカップが開かれる。永里が得た確信はそこで発揮されればいい。

 ところが、話題が日本女子代表に及ぶと、永里に戸惑いの色が浮かんだ。

「代表では、ドイツでのパフォーマンスの20~30%しか生かせず、ほとんど自分が消えてしまう」

 これまで日本の女子は、高い組織力を武器に世界と伍してきた。その重要性は永里もよく理解している。だが、彼女が現在身を置くドイツでは、それだけを尊重していては生き残れない。どちらのサッカーが良い悪いという話ではないのだが、永里が両者の間を行き来するとき、意識やプレースタイルを大きく変えなければならないことは確かなようだ。

 現在、日本国内における女子のプレー環境は十分とは言えず、今後、海外へ飛び出す選手が増える可能性もある。そのとき、代表が海外組の成長を生かしきれないとしたら、もったいない話だ。

 永里はドイツで得た確信を、どんな形で代表に落とし込むのか。彼女の挑戦は、本人にとって重要なのはもちろん、今後の日本女子代表の強化を考えるうえでも、非常に興味深いことのように思う。

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永里優季
FFCトゥルビネ・ポツダム

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