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トーリ退任で気になる「42番」の行方 

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菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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photograph byGetty Images/AFLO

posted2007/10/22 00:00

トーリ退任で気になる「42番」の行方<Number Web> photograph by Getty Images/AFLO

 10月19日、ジョー・トーリ氏がヤンキースの1年契約提示を拒否し、1996年に就任以来12年間続いた長期政権が遂に終焉を迎えた。“独裁”オーナーの名をほしいままにするスタインブレナー・オーナーの下で最も長く続いたトーリ時代は、12年間毎年プレーオフに進出し、4度のワールドシリーズ制覇を成し遂げるなど、ヤンキースの球団史の中でも輝かしい黄金期を築いたと言えるだろう。選手に対する求心力が抜群だったトーリ氏の勇退で、ヤンキースが過渡期に入ったと報じるメディアが大半だ。

 と、前置きが長くなってしまったが、今回の本題はトーリ氏ではなく、メジャーで唯一残った「42番」の行方なのだ。今後のヤンキースの主力選手たちの動向が取り沙汰されているが、その1人にマリアノ・リベラ投手がいる。彼は今季限りでフリーエージェントの権利を獲得し、他チームとも自由に契約できる状態になった。トーリ氏を全面的に信頼していただけに、「移籍するのでは……」との憶測が流れている。

 実は、このリベラ投手がメジャーリーグで唯一42番をつけている選手だというのをご存知だろうか。1997年4月15日に、ジャッキー・ロビンソン選手の黒人初のメジャー選手誕生50周年を記念して、機構側が、ロビンソン選手が着用していた42番を球界全体の永久欠番に指定していた。とりあえずその時点で42番を使用していた選手、コーチは継続使用が許可されていたが、あれから10年が経過し、今やリベラ選手しか残っていないのだ。

 ──(1997年の)4月15日時点で42番を着用している選手、コーチに関しては、彼らの経歴が継続している限り使用することができる──

 メジャーリーグの公式サイトで各チームの永久欠番を紹介しているページには、以上のような但し書きがされているが、自分自身の記憶の中では、その時点で 42番を使用していた選手でも、そのほとんどがチーム移籍後に背番号を変更していたはずなのだ。例えば1997年当時メッツに在籍し、42番を着用していたブッチ・ハスキー選手は、その後4チームを渡り歩いているが、2000年にロッキーズに在籍した時は35番を使用していた。

 「えっ?そうなんだ。私はチームが変わった時点で42番を使用できないと思っていた」

 プレーオフの取材中に、何気なしに知り合いのロッキーズ番記者の1人に尋ねてみたところ、彼もこういう認識だった。確かに移籍したチームですでに永久欠番になっている42番を、再び使用するというのは違和感が残ってしまうところ。そう考えると、すでにヤンキース以外の29チームで永久欠番となった現在、仮にリベラ選手が他チームに移籍した場合、彼は42番を使用するのだろうか。

 「面白い質問だね。確かにメジャーリーグの規則上は問題ないはずだよね。でもどうなるのかな……」

 だが彼は即座に言葉を続け、質問自体を打ち消してしまった。

 「でもどう考えたってヤンキースがリベラを手放すはずがないだろう。すごい年俸を提示すると思うよ」

 そう返されてしまっては、身も蓋もないが……。とはいえリベラ投手も今年11月29日で38歳になる超ベテラン選手だ。今シーズンは、メジャー初昇格した1995年に記録した防御率5.51以来初めて防御率が3点を超えてしまい(3.15)、すでにピークを過ぎた選手だと思われても仕方がない状況にある。仮に高額年俸でヤンキースとの再契約に応じたとしても、来季の成績次第ではシーズン途中でも放出というのも、まったくの絵空事とは言い切れないだろう。果たして今季限りで42番はメジャー球界から消え去ってしまうのか。とりあえずリベラ投手の動向に注目したい。

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