MLB Column from WestBACK NUMBER

続・LA覇権争い 

text by

菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

PROFILE

photograph byGettyimages/AFLO

posted2005/11/15 00:00

続・LA覇権争い<Number Web> photograph by Gettyimages/AFLO

 つい先日ホワイトソックスの88年ぶりのワールドシリーズ制覇のニュースを聞いたと思っていたら、すでに井口選手は日本に戻り、LAの郊外ではGM会議が行われている。時の過ぎる速度に変わりはないのだが、ついついシーズンオフは気がゆるんでしまう。ストーブリーグ真っ盛りだというのに、油断大敵を肝に銘じておかなければ……。

 さて、今シーズン開幕直前に、ドジャースとエンジェルスの間に繰り広げられている地元LAの覇権抗争を取り上げたのを記憶されているだろうか。その後も気にはなっていたのだが、今シーズンの取材活動が日本人選手中心だったこともあり、とうとうドジャースとエンジェルスの試合に一度も顔を出すことができなかった。もちろん何度かニュース等で、昨シーズンオフに決めたエンジェルスのチーム名変更(「ロサンゼルス・エンジェルス・オブ・アナハイム」)は周囲から批難をされながらも法的には認められた状態が続いていること、一方でドジャースは"This is the LA Team."というスローガンを掲げ、いかにもエンジェルスに対抗するようなキャンペーンを実施していたのは知ってはいたのだが、詳細を知るまでに至っていなかった。

 そこでシーズンが終わった今、両チームを比較検討してみる次第だ。まず人気度を測る手段でもある観客動員数だが、こちらはかなり肉薄していた。ドジャースはナ・リーグ1位の360万3646人(1試合平均4万4489人)を動員したのに対し、エンジェルスはア・リーグ3位の340万4686人(同4万2033人)を記録。両チームともに人気球団ぶりを伺わせた。

 だが忘れてはいけないのが、本拠地球場の収容数の違いだ。ドジャー・スタジアムが約5万6000人強なのに対し、エンジェル・スタジアムは4万5050人。実際はドジャースよりもエンジェルスの方が、全試合でほぼ満員のファンを集めたというのがわかるだろう。昨年就任したモレノ・オーナーの入場料据え置き政策が見事に功を奏したというわけだ。

 もちろん安い入場料だけではない。ファンを納得させるだけの試合を見せ続けた。チームは昨年に続き、西地区を制覇。リーグ決勝戦でホワイトソックスに敗れたが、ディビジョン・シリーズでヤンキースを破るなど、スター選手を次々に獲得した実力チームぶりを遺憾なく披露していた。

 一方ドジャースは惨憺たる成績に終わった。開幕ダッシュに成功したものの、主力選手の相次ぐ故障という不運にも襲われ、成績は急降下。シーズン終盤は完全に消化試合となってしまった。逆にリーグ1位の観客動員を記録したことに驚かされてしまうぐらいだ。

 そしてここに来て、両チームの今後を占うような出来事が立て続けに起きている。エンジェルスはソーシア監督と契約延長を行い、確実な安定政権を築きつつある一方で、ドジャースは成績不振を理由に契約途中のトレーシー監督を解雇した矢先、今度は同じく契約を残したままデポデスタGMに三行半を突きつけた。現在行われているGM会議にGMを派遣できないという緊急事態に陥っている。

 地元報道が、次期監督を決める途上でデポデスタ氏とマッコート・オーナーのご意見番ラソーダ氏の間で食い違いが生じたことが原因としている通り、まさに球団内のお家騒動。昨年マッコート氏がオーナーに就任してから、フロント内が一枚岩にまとまっていないことを露呈してしまった。

 実は、ドジャース関係者数人から何度か聞かされていたのだが、球団エグゼクティブたちが次々にドジャースを去っているらしい。マッコート氏の就任直後に配布された2004年版メディアガイドに掲載されている人事組織欄をみても、副社長以上のトップ・エグゼクティブの中で5人が姿を消しているのだ。

 「嫁さんを球団社長にするなんてね…」

 この夏、あるドジャースOB選手が溢していたが、元々経営陣に名を連ねていたとはいえ、オーナー夫人のジェイミー・マッコート女史が球団ナンバー2の社長に就任。まさにマッコート夫妻が球団全体を牛耳る格好となった。その状況下で次々に辞めていく球団スタッフたち。フロント内部に何かが起こっているのは間違いないだろう。

 赤字覚悟で大幅選手補強と入場料据え置きを断行するモレノ氏とは反対に、今シーズンから緊縮財政を打ち出したマッコート氏。シーズン中、ガニエはマッコート氏の姿勢を報道陣の前で批判していたという。どう見ても現在のドジャースは迷走しているようにしか思えない。

 元々エンジェルスの名称変更は、「ロサンゼルス」を使ったマーケティングに他ならない。エンジェルスがこのまま強豪チームであり続ければ、スポンサー等の資金集めはさらに容易になってくるだろう。ドジャースはボヤボヤしている場合ではないのだが……。

ページトップ